麻薬・売買春・賭博。これら3つの違法行為について考える

●情報

麻薬、売買春、賭博について考える時、日本でこれらが違法であることは理解しているはずです。

当然中国でも違法であり犯罪なのですが、、公安当局に聞くと日本人の犯罪の多くがこの3つに集中しているといいます。

 

犯罪と理解しているのに、なぜ外国に来てこれらの犯罪を犯してしまうのか。ある日本人犯罪者は「これらは自分の問題で周りに迷惑をかけてない」などと、自分の問題として捉えているようです。

そしてこれら3つに共通しているのが依存度が高く、「自分は大丈夫」「1回だけなら」「少しだけなら」「知人もやってるし」と簡単に考えてしまうこと。自分なりにハードルを下げることで、結果として依存してしまい、犯罪を重ねてしまうのです。

 

そこでこれら3つの犯罪に関して中国の観点から考えてみましょう。

 

◆麻薬

覚醒剤、危険度ドラック、コカイン、ヘロイン、アヘン、などが中国では出回っております。

特に覚醒剤は軽いもので「ヤーバー」、結晶で「氷毒」と呼ばれ、KTVや舞亭などで若者を中心に広まってしまっています。

公安当局はこれら麻薬の使用に関しては「個人の問題」という考えがあり、「体を壊しても自己責任」的考え方があります。捕まった使用者も「俺が死ぬのは俺の勝手」なんて言う人もいるそうで、中国において麻薬の使用者に関しては刑罰が軽くなっております。

その代り、これら麻薬の製造、販売、輸送に関しては極刑まであり厳しくなっております。

 

ここでは依存症になる使用者について考えてみましょう。

確かに使用者からすれば「体を壊すのは自分の問題」「周りには迷惑をかけてない」と言いたくなるでしょう。なぜこれが犯罪なのかもわかっていない場合もあります。

数年前、日本人女性が複数の中国人男性と覚醒剤パーティーをやり、そのまま錯乱した状態で強姦され、早朝に警察に捕まった事件を対応したことがあります。

派出所に行くと、取調室で女性は奇声をあげ、全身痣だらけ。ペットボトルの水を何度も頭からかぶる異常さ。今思えば尿検査を避けるため、水浸しになりながら放尿していたのかもしれませんが、とにかく異常な状況で、警官には「麻薬はやってない。強姦された」と主張してました。

最終的には尿検査で陽性反応が出たので、覚醒剤しようとなったのですが、知り合いの警官もいたこともあり、本人とも「日本できちんと専門病院に行って麻薬をやめる」という約束で、強姦で押し切り、覚醒剤使用は強制されたことにして、処罰なしで帰国させました。その後、きちんと病院に入院し更生したという報告はもらっております。

 

このように麻薬を使用すれば、自分で正常な判断ができなくなり、女性なら強姦される可能性もあります。強姦で陰部が傷ついたりすれば、今後の妊娠にも影響出るでしょう。男性でも強姦が悪い事という正常な判断ができず、実刑を喰らうのです。

そして中国なら刑事犯罪者の家族は厳しい制裁を受けます。日本人なら刑事拘留され、良くて強制送還と再入国禁止。会社に与える影響と損失は大きなものになるでしょう。

また日本でも問題になった錯乱状態で車を運転し、歩行者をはねて死なせてしまう事もあります。

 

これらを考えたとき、本当に「個人の問題」「自業自得」で済む話でしょうか。

中国では使用者に対する罰則は軽いものですが、周りに与える影響、錯乱状態になることで発生する別の犯罪など、明らかに個人の問題ではありません。

 

公安当局者の話しによると、日本人麻薬使用者で多いのは駐在員より留学生だそうです。使用開始のきっかけは「中国人の友人に誘われて」だそうです。

駐在員でもKTVや舞亭などで知人誘われ「1回だけなら」という考えで手を出してしまうそうです。

「1回だけなら」と考えるということは、その段階では「これは悪い事」という意識があったはずです。

こういう時だからこそ、そこで自分に厳しくなれれば、麻薬に手を出すことは避けられるでしょう。

確かに自分の体を壊すだけの場合もあるかもしれませんが、周りにどのような影響があるか、社会人としてもう一歩踏み込んで考える必要があると思います。

 

◆売買春

日本人が中国で最も処罰を受ける犯罪が売買春関係です。

売買春が依存するか疑問に思うかもしれませんが、日本では売春してもその場限りで、家に帰れば家族もいることもあり、依存症になる人は少ないかもしれませんが、中国に来ると環境の変化やストレスから性の快楽に依存してしまう方が多くなる傾向にあります。

実際、STCCの事件対応でも女性問題が多く、「彼氏」という名の買春契約をしていたり、ぼったくり事件でも、そこには売春が絡んでいます。

中国において売買春を行った場合、当事者は行政処分になります。逆に売春を提供する側は刑事罰となり、重たい刑罰が科せられます。

 

売買春に依存している方の言い訳としては「お互いの利益が一致してるから自分の問題」「需要と供給の関係」「男性だからしょうがない」など犯罪としての意識が薄いのが共通しています。また日式KTVでは事実上の買春であるにも関わらず、「彼氏だから」「恋人だから」などと「彼氏」「恋人」を隠れ蓑にすることで罪の意識を感じない事態になっています。

ちなみに中国では「彼氏」「恋人」と言っても、婚姻法により既婚者が異性と恋愛関係になることを禁止しています。つまり「彼氏」「恋人」と言っても、相手の女性に対して「売上貢献」「お小遣い」「生活援助」「契約による金銭の支払い」「プレゼント」など金品によって相手が利を得れば、事実上すべて売買春になります。

 

確かに売買春というのは太古の昔より、人間文明の中で持続的に受け継がれている一つの文化なのかもしれません。

国によってはオランダのように特定地域で許可している場合もありますし、日本のように風営法で性サービスを管理しているものもあります。

これは考え方の違いなのですが「性風俗を無くせばレイプ事件や痴漢が増加するから」という考えもあります。

 

しかし中国においては共産国家、社会主義国家として全て禁止しています。禁止しているわけですから、当然性サービスを管理するための法律もありません。

つまりすべてが違法行為であり、すべてが闇営業という訳です。

そして管理の無い性サービスや売買春ほど恐ろしいものはありません。

 

現在中国で一つの社会問題になっているのが性病の急速な拡大です。日本でも数年前、大阪で性病が急激に広がっているというニュースがあったのを覚えている方も多いと思います。

 

中国における性サービスというとサウナ、床屋、出張マッサージ、茶座、舞亭、油圧、SPA、KTVなどの一部店舗が提供しておりますが、当然全て違法です。

先に述べたとおり違法という事は管理が無いわけで、サウナや床屋、出張マッサージなどでは自主的にコンドームを使用したりしています。しかしながら健康管理、定期検診は個人の判断に委ねられております。KTV等では店がというよりは個人売春の温床となっており、先に述べたとおり「彼氏」とかいう建前を使うため、中にはコンドームを使用しない場合も多くあります。当然定期検診などは個人の判断です。また性病に対する知識が無い陪酒小姐もいます。

こんな危険な状態で売買春をしているわけです。当然コンドームだって100%性病を予防できるわけではありません。

過去にはレベル7という名のKTVで一気に梅毒が広がったこともあり、感染した日本人も多くいました。実際にSTCCに「どの病院に行ったらよいか」などの相談が多くあったことを思い出します。

また天山河畔という日本人が多く住むマンションでは、ある日本人男性が自殺をしました。公安当局の捜査で遺書が見つかり「エイズに感染しました。もう生きていたくありません。ごめんなさい」と書いてありました。

またある人は性病をこれまた別の陪酒小姐に感染させてしまい、高額の賠償金請求をされ、相談に来た方もいます。

このように管理の無い性サービスや売買春は性病の温床となり、感染が感染を産みます。

 

はたしてこれらは「個人の問題」で済む話でしょうか。家族に与える影響は非常に大きなものになりますし、社会に与える影響も大きなものになります。

 

また買春で警察に拘留されれば、会社に与える影響と損失は大きなものになりますし、社会的影響もあります。

 

中国では売買春や性サービスは禁止しています。どうしても買春したければ、これらを許可している国で、きちんと管理されて、許可のある場所でやればよいだけです。

 

売買春は決して「個人の問題」「自分の責任」だけではないという事を社会人として理解していただければと思います。

 

◆賭博

賭博に関しては日本でも基本的に禁止しておりますが、競馬や競輪など公営ギャンブルは許可されています。パチンコは3店方式にすることでパチンコ店は賭博場ではなく遊技場となっております。もしパチンコ店が3店方式を取らず、店が直接玉を換金した場合は賭博になり違法です。

中国では全ての賭博を禁止としています。しかしながら娯楽的要素もあるため、地域によっては条例によって麻雀やトランプなど掛け金を制限することで一部許可しています。

 

日本では昨今カジノ法案などもあり、ギャンブル依存症に関するニュースが多くあります。

ただ資本主義の日本で、ギャンブルで借金したりすることは、第三者が管理することではなく、自己責任ではと考えてしまいます。

しかし中国は社会主義の国家です。日本とは根本的な考え方が違うのでしょう。

 

中国では十年前までは日式KTVも中式KTVも経営者が浙江省や福建省に行き、女の子を買ってくるというのが良くありました。

事情を聞くと、サッカー賭博で親が多額の借金をして返済できず、娘を売るというのが当たり前のようにありました。当時の農村の年収は5千元から1万元。サッカー賭博で10万元借金したら返済は不可能な時代でした。

中国では昔から借金が返済できなくなると奴隷扱いになるしかないような習慣がありました。

現在の中国でもやはり借金は社会問題になっており、銀行の不良債権は莫大なものです。また中国にも自己破産制度はありますが、中国の自己破産は刑事責任も加わるため、昔から身内に借りたりすることが多かったのです。

 

話しが借金の話しになってしまったので、賭博の話し戻しますが、中国で日本人が賭博で捕まる場合、その多くが違法パチスロ店になります。

最近はあまり見かけなくなりましたが、見るチャンスがあれば、派出所の裏を見てみてください。

以前は山のように日本のパチスロ機が積んでありました。全て押収した台です。

台を押収しているという事は店も客も検挙されているという事です。

中国の場合、違法パチスロ店は刑事罰、客は行政処分になります。

一般的に日本人の場合は行政処分で5日から15日の拘留になります。

日本のパチスロという事もあり、日本では合法であるため、中国でパチスロをやることに罪の意識が薄いのが現状です。

しかし先に述べたように、日本であってもパチスロは3店方式にすることで法の抜け道を見つけているだけで、店が直接換金すれば違法です。

中国のパチスロ店で捕まる日本人は本当に多くいます。

行政拘留となりますと、被処分者の保証人である会社に「拘留通知書」が届きます。

当然会社に知られることになります。確かに買春で捕まるよりは…と思うかもしれませんが、それでも社会人としては失格に値します。

中国は中国です。「日本なら」とかは関係ありません。

中国のパチスロ店は必ず公安当局に見つかります。理由はマンションやビルで運営している場合が多く、周りの住民からの通報があります。人の出入りも多く、音もうるさいから当然ですね。また負けた中国人のチクリもあります。

警察に捕まれば、それだけで会社に与える影響と損失は大きなものになります。

「1回だけなら」「友人がいつも行っててカメラや抜け道があるから」などは依存症への第一歩です。

公安もバカではありません。抜け道があろうとカメラがあろうと、すべてを把握してから検挙します。

1回だけの1回で捕まる場合もあります。

全て現行犯で捕まえるので逃げることはできません。

決して甘い考えで、このような店に出入りする事の無いようにしましょう。

 

また中国のギャンブルやパチスロで借金をしてしまう人もいます。

現在、某寿司屋を経営している日本人は寿司屋を経営する前はポケパラ等のフリーペーパーを使って闇金をやっておりました。利息はトサン。それでも駐在員からの需要があり、最も多いのがKTVの陪酒小姐にはまった客だったそうですが、次に多かったのがパチスロにはまった駐在員だったそうです。

実際に飛んだ駐在員を探してほしいという闇金からの相談もありましたし、逆に会社に乗り込まれて困っているという客からの相談もありました。

この闇金は利益を資金源に寿司屋を開店させました。

 

このようにギャンブルに依存すれば駐在手当があっても借金してしまう場合もあるし、行政拘留のリスク有ります。

日本よりはるかにリスクが高いとわかれば、「1回だけ」「少しだけ」「興味本位で」なんて言えなくなるでしょう。

決して安易な気持ちでこのような場所に出入りすることが無いようにしてください。

 

◆総括

ここまで3つの依存度の高くなる犯罪を紹介し論じました。

人それぞれの考え方はあって良いと思います。

私も啓蒙活動のつもりはみじんもありません。

しかし、知っているのと知らないのでは大きな差があります。

実際に依存してしまい、周りに迷惑を掛けたり、自らを滅ぼした人が居るという事実を頭の片隅に置いておいていただければと思います。

「自分は大丈夫」「1回だけ」「少しだけ」「お試しで」「友人がやってるから」「知人に誘われたから」「捕まる人は運が悪いだけ」「バレなきゃ大丈夫」など、色々な言い訳があると思います。

しかしこれら犯罪を犯してしまっている日本人も、日本にいたときは普通の真面目な人だったのです。日本では犯罪とは全く縁のない普通の人だったのです。

中国に来て、欲に負け、しかしそれを律する環境が無く、言葉の壁、ストレスなど様々な要因があるのかもしれません。

しかしそれでも一つ間違えれば、多くの物を失ってしまうのです。

これまで学生時代に一生懸命勉強し、良い会社に入社し、一生懸命頑張って出世し、結婚し子供もできて。これらの努力が1回で失われてしまう可能性があるのです。

 

麻薬の運び屋をやって死刑になった同胞がいます。買春し性病に感染し自殺した同胞がいます。違法ギャンブルで警察に捕まり拘留された同胞が居ます。

これらは決して他人事ではなく、少しの油断で誰でも同じ状況に陥る可能性があるのです。

 

ここが日本ではないということ。この国にはこの国のルールがあるということ。今一度、考えてみていただければと思います。

 

 

※※当記事の無断転載、無断リンクは硬く禁じております。

Wechatはもちろん、LINE、ツイッター、フェイスブック等も含めたSNS、いかなる運営会社のブログ、掲示板、ホームページへの転載も禁止しております。また記事をスクリーンショットした画像の配布や発信も固く禁じております。

今後も適切な情報を中国で滞在する日本人に発信するため、無断転載、無断リンクに関するSTCC規定をご理解下さいますようお願いいたします。

無断転載、無断リンクに関する注意はこちら→「上海STCCの無断転載、無断リンクに関して