個人・法人ネット晒し被害の実態と対策

●情報

 

日本でも個人情報のネット晒し事件は問題視されておりますが、当然中国でもネット晒し事件はあります。しかしこれらは法の整備が追い付いていない分野であり、日本でも中国でも刑事事件にするのが非常に困難であります。しかしそれによって受ける社会的被害、金銭的被害は決して小さなものではありません。本記事を参考に自己防衛に努めてください。

 

◆個人の被害例

 

1、女性トラブルからの被害

 

KTVで知り合った女性と肉体関係を持った際にその行為を撮影され、ネットに公開されたくなかったら金を出せと脅される。また女性は「この写真と社名をネットに出したら株価どうなるかな」との明確な脅迫まで行っていました。

 

2、女遊びによる被害

 

KTV小姐の持ち帰りで撮影され、それをネタに金銭を要求される事案が発生しています。

 

3、ボッタクリ店による被害

 

ボッタクリ店の多くが性サービスがその一部始終を録画されています。また同時に請求時にパスポート、免許証、名刺も撮影され高額請求してきます。中には再度裸体にされ、女性とツーショット写真を撮影されたケースもあります。これらは被害者を警察に行かせない手法でしたが、最近では日本に帰国後も脅されるケースも出ています。

 

4、KTVのイベントによる被害

 

KTVのイベントに参加し、その場面を店が撮影。それを店の女性がSNS等に広告目的としてモーメンツ等に掲載したものを別の指名客がネット掲示板に社名と個人名と併せて公開。社会的地位を失う事例も発生しました。

 

これら1から3までは自身が中国の法令を順守していれば被害を免れる事例です。ちょっとした気の緩み、自身への甘さから引き起こされた事件です。しかし一旦ネットに晒されてしまえば全てを失ってしまいます。

4のケースも自身がきちんと意識していれば防げます。よくKTVで見かけますが、首から社員証を下げたままKTVで遊ぶ駐在員が居ます。当然このような店で撮影されれば違法でなくとも社会的信用は失います。社員証を胸ポケットに入れていてもネックストラップで社名を判断することも可能です。遊びは個人の自由です。しかしそれが時としては会社の社会的信用、株価に影響する場合があると言う事を意識し行動すれば防げます。日本では夜の店はプライバシー保護は暗黙の了解ですが、ご存じのとおりKTV」の小姐はそこまで賢くはありません。学校も出ていない田舎の小姐に法を騙っても通用しません。やったもの勝ちという低次元な世界で生きています。日本とは違うと言う事を自覚し行動すれば防げると思います。また常に誰かに撮影されていると言う意識を持つことも重要です。街には隙間なく公安のカメラが設置されています。マンション、ホテルにもカメラで常に監視されています。KTV小姐の100%がカメラ付携帯を持っています。撮影されてもそれが表に出ないように行動すると言う事が重要です。KTV小姐にしても撮影は必ずされていると思ってください。しかしその小姐と何もなければ表に出ることはありません。意識して行動することが重要なのです。

 

 

◆法人の被害例

 

1、社員のブログに駐在員の失態情報の流出

 

日系企業で駐在員のそばで働く現地社員の多くは日本語がわかります。その中で駐在員がKTV女性とのことを同僚と話していれば、当然現地社員にもわかります。その実態を現地社員が自身のブログにアップ。現地社員の間に一気に広まり、上司である駐在員の言う事を聞かなくなり、またそれが外部まで広がり、社内は統率がとれず、社外では売り上げと信用の低下を招いた事例がありました。

 

2、駐在員の個人情報の流出

 

オンラインで社員検索システムを導入している企業で発生しました。駐在員と中国人女性とが揉め、中国人女性がこの駐在員の努める企業の社員にお願いし、検索システムの画面を撮影、それをKTV小姐に売った事例がありました。そしてKTV小姐はその情報をそのまま中国の口コミサイト、掲示板、ブログ、日本のブログ、mixi、FB、ツイッターに公開し脅迫すると言う事件が発生しました。

 

3、給料等の人事情報のネット公開

 

中国に口コミサイトで企業の給料、福利厚生、待遇等を公開できるサイトがいくつもあります。そこに社員が何の悪意も無く、人事情報を掲載してしまっています。これら情報は求人に影響するばかりでなく、優秀な人材の引き抜き等にも利用されます。またこの情報を元に社員を買収し、機密情報を盗み取る産業スパイも発生しました。

 

これらは社内の機密保持に関する教育がなされていないと言う結果でもありますが、実際は現地社員に悪意がないと言う事が大きな問題なのです。中国の従業員の多くは情報の取り扱いに関しては無知と言ってよいでしょう。平気で見積り金額を競合する企業に勤める友人に話してしまうケースもあります。機密保持や情報の取り扱いに関する規定を作るのは当然ですが、現地社員に情報流出の結果、どういう事態になり、そしてその損害がどうのようにして自分に降りかかってくるかを教育することが大切です。しかし、売り上げが下がって倒産して失業すると言う教育は間違いです。中国人には日本人のような会社を愛する精神はありません。中国人にとって会社は生活するための道具でしかありません。倒産すれば経済保証金をもらって別の会社に行くだけと考えています、これら被害がどう自身の損失になるのかを間違えることなく教育することが肝心なのです。また同時に情報が流出しないシステムの構築も重要であり、駐在員の意識改革も重要なのです。中国では規定で制限するだけでなく、これをやるどう自分に損失となって返ってくるかの教育、駐在員の意識教育をする必要があるのです。

 

 

◆各種投稿サイトの対応

 

STCCが削除依頼した際の各投稿サイト対応の違い例

 

中国国内

 

・TENSENT微博:通常削除依頼は完全無視。TENSENTの規定をこちらから提示して3日後に削除

・新浪微博:申請して2日目に一部削除。さらに指摘依頼して2日後に転載先まですべて削除

・天涯掲示板:誰が削除依頼しても完全無視。

・QQ空間:依頼して3日後に削除

・大衆点評:依頼しても完全無視

・給与公開サイト:依頼しても完全無視

 

日本国内

 

・YAHOOブログ:弁護士が書簡で依頼して1週間後に削除

・アメブロ:一般削除依頼は無視。弁護士が書簡で依頼して3日後に削除

・2ch:削除人に依頼して運が良ければ削除

・チャイステ(現在停止):ライブドア経由で削除依頼して1日で削除

・爆サイ:誰が依頼しても完全無視

・mixi:削除依頼して2日で削除。その後運営側が自主削除

 

その他

 

・ツイッター:削除依頼して2日後に削除

・フェイスブック:削除依頼して3日後に削除

 

上記の通り中国で晒されてしまった場合は、ほぼ削除は無理だと考えた方が良いと思います。日本の場合ですと弁護士まで出せば削除してくれますが、削除までに時間がかかってしまい、その間に拡散されてしまいます。
日本においてはこれらに対応する法律がありません。個人の場合ですと皆無と言ってよいでしょう。法人の場合ですと無理やり業務妨害にしたり、株価に影響する場合は証券取引法を強引に持ってくるしかありません。中国の場合ですと晒し行為自体に法は無く、それに伴って脅迫があれば何とか治安管理処罰法で対応できますが、5日以下の行政拘留もしくは500元以下の罰金で終わってしまいます。

 

やはりこういうネット晒しに関しては自己防衛しか方法がないと認識し、それに見合った行動と対応する必要があります。

個人であれば不用意に撮影されないと言う事、中国の法令を守ること(不貞や買春をしない)、夜の店のイベントを避ける、法人であれば既定の見直し、社員教育、駐在員の意識改革を行って自己防衛に努めてください。