春節に増加!某薬物の運び屋にならないための注意

●情報

 

春節など長期休暇になると増えるのが荷物の運び屋にされる駐在員だ。

空港では荷物の重量制限に関係して、手荷物の少ない日本人に「荷物が重量オーバーで課金されるので、変わりにチェックインしてもらえませんか」と言うものだ。これらの声をかけてくる中国人は若い女性がほとんどで、ついつい引き受けてしまう。しかし中身は危険ドラックの原料であったり、麻薬類であったりする場合があり、出国の検査で公安当局に捕まってしまったり、日本で捕まったりしてしまう場合がある。これらは日本でも報道がされており、既にご承知の事と思う。決して空港で荷物を頼まれても受け取らないようにしていただきたい。

 

そして最近多いのがKTV小姐に頼まれて荷物を運んでしまうケースだ。

KTVと言えば中国でも有名な犯罪の巣窟である。売春、麻薬などは日常茶飯事だ。

中式KTVの話しだろうとお思いのあなた。実は危険ドラッグの原料に関しては日式KTVの方が多いのだ。

 

これは実際に昨日相談にあった話しである。内容が内容なのでKTV名もイニシャル表記する。

某大手日式KTVのEに通っていたAさんは小姐に「春節は日本に帰りますか」と聞かれ、帰ることを伝えると、小姐に「じゃあお願いがあるから明後日一緒に食事しましょう」と言われた。

当日約束の場所にいくと、普通に彼女が立っている。Aさんは「Eの小姐だからどうせ高いブランド物でも買ってきてとせがまれるんだろう」と考えていた。当然断る文言も準備していた。

しかし彼女は「日本に私の同級生がいて、同級生に渡してもらいたい荷物がある」と言う。Aさんは「荷物は何?」と聞くと、小姐は「化粧品。色々な客からもらうから家にいっぱいあるの。だから友達にあげようと思って」と言う。Aさんは化粧品ならと承諾した。Aさんは「荷物は?」と聞くと、小姐は「店においてある」と言う。Aさんは「この荷物を預かるのも結局同伴になるのか」と考えながら店に向かう。

店に着くと小姐はちょっと待っててと言って5分ほど個室を出ると、小さな小包を持って帰ってきた。

小包は梱包用テープでぐるぐる巻きにされてあった。

Aさんが中身を見ようと箱を開けようとすると小姐は「開けないで。また梱包しなおすのが大変だから」と言う。

Aさんは小包に宛名が無い事に気がつき、あて先について聞くと「あとで同級生が教えてくれるから、今度連絡する」という。

Aさんは結局その小包を預かって家に帰ったのだ。当然ではあるが自分のボトル以外に噂の偽ワインも飲まされた。

この小姐を愛してしまっていたAさんは「これは本当は日本に彼氏がいて、その人への贈り物かも。」と考え、嫉妬心から箱を開けてしまった。

箱を開けるといくつかの小箱とエアパッキンでくるまれた小瓶が無数に出てきた。一見すると化粧品とも見える。

しかしエアパッキンにくるまれた小瓶には中国の化学工場の名前があり、何やら化学式が書かれている。中身は何かの結晶のようであった。

また小箱の方にはビニール袋に入った乾燥植物片が入っていた。

それを見てAさんは直感的に「これは麻薬かも」と思い、受け取った手前どうする事もできなかったという。

彼女に返すにもおそらく「なんで開けたの」と逆切れされることは目に見えていた。警察に相談するにも麻薬所持で捕まりたく無い。そこでSTCCに相談がきたというわけだ。

 

私はAさんの自宅に行き、荷物を確認した。

最初は乾燥植物片は大麻を疑っていたが、大麻の臭いはしなかった、どちらと言うとパクチーに近い香りだった。小瓶の結晶はまったくわからない。

そこでこれらの撮影し、公安局の友人に写真を送った。

帰ってきた返事はこうだ

乾燥植物は大麻や阿片ではない。結晶は普通の化学薬品で違法性はないとの回答があった。

 

さて、これらが危険ドラッグの原料なのかどうかはわからない。 厚生労働省に問い合わせようとも思ったが、既に化粧品でない事は明白であり、私はAさんにこれらをトイレに流すように指示した。

Aさんは「この小包をどうしよう」と言うので、とりあえず彼女には言わずに宛先を聞き出し、日本に帰国後に警察に事情の説明と中身は現地中国で処分した事を説明するように勧めた。

もしこれらが危険ドラッグの原料であった場合、あて先の住所は間違いなく危険ドラックの売人もしくは調合工場なわけで、日本にとっては有益な情報になるからだ。

と同時に彼女から連絡が来ても一切返事せず、無視するように伝えた。当然日式KTVのEにも今後は行かないように伝えた。もしこれが危険ドラッグであった場合、Aさんにも危険が及ぶからだ。幸いAさんはこの小姐と出会ってまもなく、家も日本の情報も取られていないようなので、このまま無視するように伝えた。

 

危険ドラッグの原料は中国では簡単に手に入るものもある。なぜならこれら化学薬品は中国では合法であり、普通に製造しているからだ。

しかし日本では事情が違う。これらを調合し、そこに覚せい剤や麻薬の成分を加え、脱法ハーブとして売っているからだ。

しかし厚生労働省も随時この危険ドラッグの原料を指定規制薬物にしており、日本入国時に捕まる場合もある。実際に危険ドラッグ密輸の9割が中国からという事実がある。これらがKTV小姐を経由して駐在員にわたり、そして日本に持ち込まれるというルートもあるということだ。

これらが示すように絶対に第三者から荷物を預からないように注意していただきたい。

 

次に逆の場合も報告しておく。

KTV小姐に目薬や風邪薬、胃薬を大量に頼まれる事があるだろう。身に覚えがある方も多いはずだ。

少量であれば自身の常備薬とも言えるが、大量となると浮かぶのが商用目的である。

日本の薬事法ではもちろん大量の持ち出しは禁止されている。見つかれば当然空港で没収されます。

また昨今は中国でもこれらの薬類の流入を防ぐべく、厳しい対応をとっており、これら密輸薬品の取締りは強化されております。

KTV小姐に頼まれても自身が使う分のみ同意し、商用目的と思われる大量購入は控えるようにしてください。

密輸は犯罪行為であることを認識し、犯罪に加担しないよう自身で十分注意してください。