●情報
すでにキャッシュレスが当たり前の中国ですが、見切り発車の結果、多くの詐欺被害が報告されております。
そんな中、昨今注目を集めているのが、微信の支払QRコードを盗撮して金が盗まれるというものです。
こんな行動をしている方はいませんか?
スーパーやコンビニなどのレジで並んでいる時、スムーズに支払えるようにスマホの画面にQRコードを表示させて並ぶ。
バーや飲食店の会計時、支払用QRコードを表示させたままテーブルやカウンターに放置してしまう。
実はこれは非常に危険な行動なのです。
友人間などで微信の支払コードでお金を渡したり、受け取ったことがある人ならわかると思いますが、QRコードのスキャンは非常に簡単で、距離が離れていてコードが小さくても一瞬で拡大して読み取ります。また多少ずれていたり、ゆがんでいても、画面がバリバリに割れている状態でも一瞬で識別するのを体感したことがある人は少なくないと思います。
つまりレジで並んでいる時にQRコードを表示させておくと、周囲の人は簡単にあなたのQRコードをスキャンできてしまうという事です。
実際の実験では防犯カメラ越しにスキャンできたり、3m離れているところからスキャンできたりしています。
実際に知人と同意の上で、一度実験してみるとよいと思います。
公安の安全指導の一環で、ドッキリ形式でスーパーのレジで実際に金を盗む動画が公開されています。
全ての人がお金を盗られるまで気が付かず、犯人もスキャンだけして離れた場所まで移動し、ほしい金額を入力して受け取りを行いますので、気が付いた時には犯人は近くにいません。
ただこの犯罪の欠点は、警察は犯人を簡単に特定でき、口座やアカウントの凍結や逮捕が容易であるという事です。
したがって実際はこの犯罪は広がることは無いのですが、ところが被害者が日本人だったらどうでしょう。
中国語がビジネスレベルに達していれば、冷静に110番通報できるでしょう。
しかし生活レベルの中国語では110番通報してもどうやって説明したらよいかわからない場合の方が多いのではないでしょうか?
普段使う事の無い犯罪用語や警察用語はわからない場合がほとんどで、実際にお金を盗られてパニックになっている状態で、周りの人にも説明できず、警察に電話しても説明ができない状態に陥ると思います。
もし盗られたお金が10000元なら必死に説明したり、派出所で身振り手振りで説明しようとするでしょう。しかし盗られたお金が1000元以下ならどうでしょう。言葉の壁もあり、警察に行っても説明と事情聴取などで、被害届を受理してもらうだけで数時間の時間を消費します。
会社に連絡して通訳を呼ぶにしても、昼間なら可能ですが、夜だと難しい場合もありますし、会社に知られたくない状況の場合もあるかもしれません。
駐在妻なら旦那に迷惑を掛けたくないという気持ちが働くかもしれません。
おそらく現在の日本人だと1000元以下なら泣き寝入りしてしまう方の方が多いかもしれません。
問題はその先で、もし犯罪集団に「日本人なら1000元以下なら通報しない」なんて思われてしまった時です。
古北などの日系スーパーの客層は日本人が多く、レジが少なく、店員は丁寧に商品を袋に入れてくれる為、並ぶことも多々あります。 犯罪集団にしてみれば格好の餌場になりかねないのです。
そうならないためにも、皆さんが十分に気を付け、万が一被害に遭ったら、額が少なくても通報する。そうすることで「日本人はめんどくさい」と犯罪集団に思わせることが、日本人被害者を減らすもっとも有効的な方法なのかもしれません。
とにかく支払の直前まではQRコードを表示させないという事が大切です。
iPhone利用者なら、微信や支付宝のアイコンを強く押す(タップ)だけでQRコードを即時表示させることが可能です。事前準備よりは時間が数秒かかりますが、後ろの方に迷惑をかけることはなく、被害に遭うリスクと比べても問題は無いはずです。
簡単に逮捕できる犯罪ではありますが、簡単に犯行できる犯罪でもあります。
十分、気を付けてください。
※本記事には犯罪の手口の一部が記されております。情報の取り扱いには十分気を付けましょう。
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