KTV小姐による脅迫恐喝の組織化・ビジネス化

●情報

 

これは先日解決した上海のKTV縁むすび6号店ハニーハントの小姐による脅迫恐喝事件である。

皆様もご存知の通り、KTV小姐による脅迫恐喝事件は年々増加傾向にある。マニュアルまであるくらいだ。しかしこれまでは小姐が単独で行い、同僚の小姐や過去に成功した小姐、チーママがサポートする程度だった。

だが今回は違った。出会いから全てリーダー格の小姐が仕切り、都度報酬を得ているのだ。

 

上海に駐在の田中氏(仮名)は赴任してまもなく、同僚の紹介で縁むすびに行き、李小姐(仮名)と出会った。

最初は客と小姐の関係で普通に指名しただけであったが、ある時から突然「私たちは恋人」と言うようになった。

このようなことはKTVに行った事がある人なら経験した事もあるだろう。みんなこの言葉に気を良くして魔都上海の門を開けてしまうのだ。

田中氏も当然この言葉に誘惑された。そして交際が始まったのだ。当然不倫である。

交際してしばらくすると李小姐から「友達は毎月5000元もらっている。私もほしい」と言われた。

田中氏は額も噂より安いこと、お金の関係なら綺麗に別れられると思い、この申し出に同意した。

彼女も家に来るようになり、典型的な上海ライフを送っていた。

数ヵ月経過後、彼女から「毎月のお金を10000元にしてほしい」と言われた。田中氏は当然この突然に申し出に拒否をすると、彼女は誰かに電話を始めた。何やら中国語でしゃべっている。当然赴任したばかりの田中氏には言葉はわからない。電話を終えるとすぐに「同じ店の王小姐(仮名)は毎月15000元もらってる。私は10000元。私は貴方を本当に愛してるから10000元でよい」と言い出した。拒否をすると、彼女は暴れだし、周りのものを破壊する。田中氏は渋々同意した。

しばらくすると彼女がほぼ毎日のように家に来るようになった。生活用品も持込、カーテンも自分好みに変更したりするようになった。

ある日田中氏は出張で外地に行くため家を数日空けることになった。彼女は「じゃあ家の鍵を貸して」と言うので鍵を渡して出張に出た。

戻ってくると家族から誕生日プレゼントで貰ったネクタイがない。彼女は「あなたには似合わないから捨てた」という。不倫しているとはいえ、大切な家族からの贈り物であった。

田中氏は彼女に対して怒った。当然彼女も逆切れしてきて喧嘩になった。喧嘩中も彼女は誰かと電話している。

この日は田中氏が折れる形で収束し、彼女を帰宅させた。

田中氏は李小姐をめんどうに感じ、別れる事を決意。そこで彼女に電話で「しばらく会うのをやめよう」と話した。彼女は電話を切ると数分後に再度電話が掛かってきて「しばらくってどれくらい」と聞いてくる。田中氏は「とりあえず1週間から2週間、お互いに冷静に考えよう」と伝えると、彼女は電話を切った。しばらくすると彼女から電話が来て「電話では良くわからないから家に今から行く。」と言って電話を切った。

数時間後、李小姐は家に来た。家に入り込むと彼女は「しばらく会わないなら保証金として毎月のお金の3か月分を先に払え。払うまでは出て行かない」と言い出した。

 

この情況で田中氏は上海STCCの緊急電話に相談してきた。

 

委任状も無く急であったため、その日は彼女を刺激しないようにそのままにし、翌日田中氏と会うことになった。

田中氏は翌日会社を休み、彼女に「昼飯を食いに行く。」と言って家を出た。当然彼女は「銀行に行って早くお金を持ってきて」と釘を刺してくる。

 

田中氏と面談し、即時対応したいが家に居座られているのは非常に厄介だ。何を言っても家に居座っている彼女を物理的に力で排除する事はできない。意地を張られてはどうする事もできないのだ。

こういう女性を強制排除しようと手を掴めば「殴られた」と騒ぎ出す。警察を呼んでも恋人同士の事は関係ないと警察は何もしてくれない。逆にこういう警察の対応が彼女に自信を与えてしまう。

そこで一応SMSで勧告を行ってみた。

彼女には田中氏の家に居住する権利が無い事。暫住証の住所が違う事。不動産契約書の居住者欄に名前が無い事を弁護士のようなマニュアルどおりの勧告を行ってみた。ついでに委任状を撮影しMMSで送った。

しばらくすると彼女から電話が来る。彼女は「お前は誰だ」と言うので「委任状の通りです」と答えると彼女は電話を切った。すぐにこちらから電話を掛けなおすと、彼女の携帯電話は話中になっている。そこでSMSで再度勧告と家を直ちに出るように伝えると、しばらくして彼女からまた電話が来る。「田中との約束があるから」と言う。私は「あなた達は不当な関係である。いかなる理由があっても貴方にお金を要求する権利は無い。直ちに家を出ろ。こちらはあなたに1元もあげない」と言うと彼女はすぐに電話を切った。

すぐにこちらから掛け直すとやはり話中状態である。

数分後、再度彼女から電話が来る。彼女は「お金は私が貸したもの。返してもらうだけ」と言い出した。私は「貸した証拠をだせ。借款協議書を見せろ」と言うと彼女はまた電話を切る。当然借りた覚えは無い。

やはりこちらから掛けても話中になる。そして数分後にまた彼女から電話が来る。彼女は「証拠はある」と言う。私は「ならばその証拠を持って裁判所に行け」と伝えるとまたすぐに電話を切る。

このままでは収束しないためSMSで「今から家に行きますので、直ちに退室しなさい」と伝えて家に向かった。

家に入ると彼女は堂々とソファーに寝転がっている。私はすぐに証拠確保のためカメラのレンズを彼女に向ける。彼女はそれを見て毛布に隠れ、すぐに誰かに電話を始める。

電話を終えると「私は体調が悪い。出て行かない」と言い張る。更にカメラを向けると彼女は窓際に移動し、また誰かと電話を始める。

私は中国語がわかる。そこで話している内容をかいつまんで言うと「写真を撮られてる」「出て行けと言っている」「代理人1人で田中はいない」そんな事を言いながら5分ほど話す。

電話が終わると突然「帰る。貴方とは話す事は何も無い。明日会社に行ってやる」とはき捨てて出て行こうとした。私は「これは会社から委託されている。来たければ勝手に会社に来い。答えは同じだから」と嘘ではあるがこのように伝えた。

実際は色々な物を投げつけられたりと修羅場ではありましたが一部始終に関しては、ここでは省略いたします。

彼女が家を出ると、彼女が投げつけたものを片付けて部屋を出た。

一般的に小姐を追い出したあと、小姐は非常階段などに隠れている事が多い。私はそれを警戒し部屋のあるフロアの非常階段を確認するが、なぜか彼女はいない。知識の無い小姐はよくここに隠れているのに不思議だ。私は珍しいなと思いながら1階のエレベーターホールに下りる。ここにも非常階段の出口がある。一応確認するとやっぱり隠れていた。ただしここは1階のロビー。ここに関してはオートロックの内側でも中国では公共場所とされる事が多い。そのため彼女がここにいる分には合法であり、彼女の自由なのである。彼女に「ここは公共場所。あなたがここにいる事は自由。勝手にやってろ」と伝えると「知っている」と返されてしまった。

今回の目的はまずは彼女を部屋から追い出す事だったため、第一段階はこれでよいのだ。

対象が部屋を出てくれれば、後でいくらでも対応する方法はあるからだ。

それから小区を出ようとした時、すれ違いに30代半ばの女性と若い女性2人の三人組が現れた。その場はすれ違い程度であったが、私が小区の警備員に女性の写真と委任状を見せて、この女を小区に入れないように伝えていると、李小姐と先ほど3人組が現れた。

そう、李小姐がいつも電話していたのはこの30代半ばの女だったのだ。この女は李小姐の応援に駆けつけていたのだ。

私は「お前らは全員縁むすびの小姐か?」と聞くと30代半ばの女が「そうだ。お間は邪魔するな」と日本語で言ってきた。私は委任状をかざし「本件は私が話しを聞く」と言うと、この女は「会社に行ってやるから覚悟しろ。」と言ってきた。その後諸々警備員の前でこの30代半ばの女と話しをした。ここは私の技術のため省略します。

そして話しが終わると彼女たちは「お前なんか死ね。バカ野郎」と吐き捨て去っていった。

私も「お前らは詐欺のプロかも知れないが、私は邦人保護のプロだ。弁護士なら民事で扱って、いくらかお前らに金が入るかもしれないが、私は民事ではやらない。やるなら刑事で処理する」と伝えて終わった。

 

このような「死ね」などの吐き捨てる言葉が出てきたときは大抵は解決である。中国人は一般的に「これ以上やったら自分たちが損をする」と考えると何もしてこなくなる。逆に自分たちの損に気が付かないといつまでもやってくるし、行動もエスカレートする。某諸島の事もまさにこの理論である。これ以上やると自分たちが損をすると思えば一時的に大人しくなるし、大人しくなって様子を見てイケると思うとまた船がやってくる。そして何も対応せずにいるとその行動がエスカレートする。

話がそれてしまったが、刑事事件は彼女たちにとって最大の損失になる。そしてそれを実感させる事が重要なのだ。

この吐き捨てる言葉が出ると言う事は相手が負けを認めた証である。

私は毎月何回もこのような学の無いバカ小姐に「死ね」「アホ」「バカ野郎」など浴びせられているので、この言葉が解決の証拠である事はわかっている。しかし私も人の子である。やはり私もこういうことを言われると結構傷ついているのだが…。本当のバカに「バカ」と言われるのは結構辛いのです。

 

私のことはさておき、こうして事件は解決したのだが、今回のようなリーダーが仕切っている事案は最近増加傾向にあるため調査してみた。

 

するとこのリーダーはこういう店の小姐を使って金稼ぎをしていたのだ。

 

このリーダー女と手を組んでいる小姐は新規の客が来ると、このリーダーに報告をする。するとリーダーは相手の名刺もしくは領収書情報を店から貰ってどうするかを判断する。金が取れると判断すると小姐に指示を始める。そして「最初は金を要求するな」とか相手の社名と役職を見て「最初は○○元」と指示。そして今回のように5000元取れると、その3割がリーダーの懐に入る。毎月の小遣なわけだから、当然毎月報酬を得る。しばらくして値上げを指示して、どこまでなら金を出すかを確認する。更なる個人情報の収集もこの女の指示で行う。小さな喧嘩から大きな喧嘩までこのリーダーに報告をして指示を仰ぐ。

喧嘩の度合いによっては手切れ金請求に移行する。

今回のように小さな喧嘩の時は保証金等で相手の金の出し具合を計るなんていうのも、全てこのリーダー女の指示でやっている。

私が委託を受けて彼女に勧告した際も、都度リーダー女に報告し指示を得ていた。それで私から電話すると話中だったわけだ。突然「借金だ」なんてとぼけたことを言い出したのも、このリーダー女の指示だったわけだ。

家に入った時に電話で話していたのもこのリーダー女で、家を出るように指示し、隠れるように言ったのもこのリーダー女だったわけだ。

 

今回は縁むすび6号店ハニーハントの小姐による組織的恐喝事件である。

最近の情況を考えると縁むすびでは何号店であろうともこのようなことが常態化しているように感じる。先日の記事でも書いたように産業スパイ的な事件も発生している。

かつてこのグループ店の某ママが作った日本人狩りマニュアルには「会社には攻撃してもよいが妻には手を出すな」とあったのを思い出した。そうなるとこの店での事件は個人の問題では終わらないということだ。

アフターファイブは自己責任と言うのは日本国内でのことであって、海外ではその範囲ではないと言う事を実感させられる。

当然なのかもしれない。中国に滞在するビザ(居留許可)も就業許可があってのものである。つまり会社があってそこに勤めるから滞在の許可を中国政府から貰っているわけで、中国に滞在しているだけですでに個人責任ではなく会社の責任なのである。

 

自己責任では解決できない情況になっているからこそ、利用する店を小姐に合わせるのではなく、社会責任者(大人)として店を選ぶべきだと思うのである。

そして会社もリスクマネジメント、コンプライアンスの一環として、きちんと管理していく必要があるのかもしれない。