上海市内の日式KTVで梅毒拡大。さらにそこからの恐喝が増加

●情報

 

昨今、上海市内のKTVを利用し買春を行った結果、梅毒に感染。その後、KTV小姐から「あなたのせいで梅毒に感染した。賠償金として○○万元払え」という事案の相談が増えています。

 

事件の流れとしては以下の通りです。

ここではある事案を紹介しますが、複数の相談があり、どれも似たような感じです。店や小姐はバラバラです。

 

出張で上海に来たAさんは、取引先の駐在員に誘われて上海市内の日式大型KTVに行きました。駐在員はAさんに「この店は頑張れば持ち帰りできるから」と勧め、一人の小姐を指名。

ワインを数本空け、酔ったAさんは小姐にお持ち帰りを要求。小姐は「えーっ。私そういうのしたことない。でもAさんは好き。だから恋人になって。あなただけ特別。」と言ってホテルに来て、関係を持ちました。「恋人」という言葉もあってお金は払わなかったし、小姐も要求しなかったとの事。この小姐の勧めでWechatのアプリをダウンロード。そして彼女を登録しました。

帰国後すぐにWechatで小姐から連絡があり「昨日はありがとう。私いつもあんなことしない。あなただけ特別だから。昨夜のことは二人だけの秘密。もう私たち恋人でしょ。」と言われ、Aさんも「OK」と返事したそうです。

 

それから2週間、毎日彼女とWechatで会話し、彼女からの誘いもあり、Aさんは有給をとって、妻には出張と嘘を言って上海に遊びに来ました。

そして彼女と会いホテルへ。そして小姐は「私たち恋人でしょ。中国では恋人同士のセックスはコンドーム使わない。あなたは特別だから」と言い、Aさんはコンドームを使用せずにセックスしたそうです。

そして帰国して3週間が経過した頃、いつもはWechatで連絡がくる彼女から、突然電話がきました。

彼女は「あなたのせいで私は梅毒に感染した。私がセックスしたのはあなただけ。あなたがコンドーム使いたくないと言うから、私は我慢した。梅毒に感染して私は今後結婚もできない。どうしてくれるの!」と言われたそうです。

慌てたAさんは「俺は梅毒なんて持ってない」と言い返すが、彼女は「近いうちに日本に行くから、会って話しましょう。あなたが上海に来てもいい」と言いだしました。

Aさんはとにかく病院に行き、性病検査を受けました。結果は梅毒が陽性反応でした。

その後も小姐からは何度も電話があり「あなたどうするの?検査した?梅毒でしょ!賠償して。いつ上海に来るの」と言われました。会社にも電話が来るようになりました。

 

梅毒感染と賠償要求、妻や会社に言えない現実。Aさんは混乱しながらも「こっちが彼女に感染させられた」と自分に言い聞かせ「感染させられたのだから賠償責任はない。話し合えばわかってもらえる」と考え、土日を使って上海に再びやってくることになりました。

ホテルに到着し、彼女に連絡。ホテルのロビーにある喫茶店で待ち合わせをしました。

 

先に喫茶店に到着したAさんが彼女を待っていると、1時間ほどで彼女と店のチーママがやってきました。

彼女は何も言わず、チーママが口を開く。「あなたのせいで彼女が性病になった。どうするの。男なんだから責任取りなさい」と言われ、同時に彼女は泣き出す。

Aさんは「どっちが感染源かわからないでしょ。私も梅毒になった」と反論。するとチーママは 「あなた日本人でしょ。日本人は頭の中はいつもセックス。彼女はまじめな中国人。好きな人としかセックスしない。しかもコンドームを使わなかったのはあなたでしょ。あなたが全て悪い。賠償しなさい」と大声で話した。

周りの目もあり、Aさんは「賠償金っていくら?」と聞くとチーママは彼女に答えるように促した。

彼女は「あなたの誠意がほしい。あなたが決めて」と言う。

Aさんは「じゃあ1万元?」と聞くと、チーママは「おまえはバカにしているのか!1万元じゃ病院代も足りない!警察行くか!?」と怒鳴ってきた。

 

完全にパニックになったAさんは「じゃあ5万元?」と聞くと、彼女はまた大泣きしだし、チーママが「あなた本当にひどいに日本人。あなたみたいな日本人は始めて見た。あなたは彼女の人生を壊した。よく考えろ!」と怒鳴った。

 

周りがざわつきだし、Aさんはとにかくこの場から去りたい気持ちでいっぱいになった。

そしてAさんは「じゃあ10万元」と言った。

チーママが彼女に尋ねると、彼女は「とりあえず10万元。でもこれで終わりじゃない。私はもう結婚できない。奥さんと離婚して私と結婚して。」と言い出す。

Aさんは「結婚はできない。」と返すと、彼女は「じゃあお金で賠償するのが大人のルールでしょ」と言った。

こうしてAさんは彼女と金額交渉をしてしまい、最終的に40万元で合意。支払期日などを決めた念書を書かされて帰国した。

 

当然Aさんは妻に内緒で40万元(日本円で600万円)なんて用意できない。そこでSTCCに相談に来る形となりました。

 

以上が今回Aさんのトラブル相談ですが、実はこのような相談は昨今非常に増えています。

単純に「梅毒に感染してしまった 。どうしたらよいか」と言う相談もありますし、梅毒感染を理由にお金を請求される事案が非常に増えています。

そしてこれらの恐ろしいところが、本当に梅毒に感染していると言うことです。

 

STCCの調査で状況証拠としてわかっていることは、梅毒に感染した小姐が、故意に梅毒を感染させて恐喝をし、金を稼いでいると言うことは判明しています。複数の相談と小姐の証言から判明しています。ただ正直言ってこれを立証するのは困難です。

 

その証言の一つとして、某小姐の話によると、ある小姐が梅毒に感染。チーママに病院を紹介してもらおうと相談すると、チーママは「梅毒はすぐにひどくならない。お金稼げるチャンスだよ。日本人駐在員はコンドームなしでセックスが大好きだから金取れる。病院は後で行けばいい」と話していたそうです。

 

非常に恐ろしい話です。

 

STCCへの梅毒に関する相談件数は増加していますが、これは氷山の一角であると考えられます。そう考えると、上海市内のKTVにはある程度の数の梅毒キャリアの小姐がいると考えられます。

 

当然、中国では買春は違法です。KTVに行ってKTV内で小姐とキスをしたりすることも違法です。つまり中国の法令を遵守し、「あなたは特別」「あなたは恋人」という嘘の誘惑に流されなければ、感染することもありませんし、トラブルも発生しません。

 

梅毒などの性病までも恐喝ビジネスに利用する時代になってしまいました。小姐たちの恐喝もどんどん進化しています。少しでも恐喝じみた発言があったり、一度でも恐喝を受けた場合は「今はおとなしいから様子を見よう」なんて考えることなく、きちんとその時に対処しなければ取り返しのつかない事態に発展します。当然恐喝手段も進化しています。

 

また彼女たちが恐喝できる環境を与えてしまっている原因も、日本人と日本企業にあります。

お金で解決できる時代はとうの昔に過ぎました。お金を渡せば小姐は「ここまでやってこの金額。ならもっとやればもっと金が出る」と考えます。つまりお金を渡したり、金額交渉すること自体が、事態の悪化を招いていると言うことです。また簡単に個人情報を取られてしまう脇の甘さも原因です。

 

そしてほんの一瞬の小さな判断ミスが、あとで大きな損失に繋がります。

先に述べたように、拝金主義の中国では、いまや性病までも金にしてしまいます。

中国に出張や観光で来る方、駐在されている方は、この事実をしっかりと認識し、無事に帰国できるよう危機管理意識を持っていただければと思います。

 

また性病感染の疑いがある方は、日本国内での感染拡大を防ぐためにも、きちんと病院で検査し、適切な治療を受けてください。

 

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