お金の被害だけではない上海のぼったくり店の手口

ここ数日、また高額請求店(以下、ぼったくり店という)が増加傾向にあります。

出張者、観光者を中心にその被害も増え始めています。

また以前の店舗はほぼ閉店し、当たらしい店が増えている中、場所の特定にも時間がかかっています。

 

そんな中、現在の上海のぼったくりの被害はお金の被害だけではないのが非常に厄介なところです。

 

まずはぼったくりの仕組みをお話します。

上海のぼったくりは複数の組織に別れています。

 

1、呼び込み専門集団:ぽん引きを生業とし「日本人?かわいい子いるよ。」「マッサージ300元」「女の子を見るだけでも大丈夫」「エッチできるよ」などと言って、客を見つけて契約している店につれていきます。呼び込み集団は連れて行った客の売上げから30%から35%を報酬としてもらっています。

 

2、カード機器配布業者:ぼったくり店は高額であるためカード決済が一般的です。しかし通常はこのような店はクレジット会社や銀行、銀聯などと契約できません。そこでカード業者は複数のペーパーカンパニーを設立し、その企業とカード会社を契約させ、アカウントを入手し、カード機器を各店舗に配布します。この業者の報酬は決済額の20%を手数料としてもらっています。

 

3、店舗:実際の事件現場になる店です。個室(KTV風やマッサージ店風)の内装の店舗を用意し、女の子を置いて売春させています。請求時の脅迫用に地方の武術学校卒業者などを雇い、脅迫を行います。また地方の無職の男を複数雇い、店舗周辺に配置し、付近の監視を行っております。

 

4、元締め:関係各局とつながりがあり、何かあった際のケツもちを行います。

 

このような形でぼったくり店は経営されています。

 

以前であればお金だけの被害でしたが、昨今ではぼったくり店自体も、ぽん引きやカード業者、元締めへの支払い、家賃の高騰等で経営を圧迫しているため、一人の客からの収入を増やそうと、色々工夫しています。

 

1、個室内でのセックス場面を録画し、香港等のAV業者へ売却したり、中国内の裏サイトでエロ動画としてダウンロード販売しています。そのため隠しカメラの画素数もよくなり、HDレベルの映像となっております。また同時に赤外線カメラも使用して撮影しています。

 

2、個室内のセックス動画を利用して、後日、日本で請求もしくは脅迫するために、財布やカバンを物色し、免許証、保険証、名刺、パスポートなどを広げて、個室内のカメラに撮影させたり、従業員の携帯カメラで撮影し、個人情報を入手し、日本国内の組織に売ったり、請求代行を依頼しています。

 

3、「私はセックスをしました。サービスが悪かったため値引きしてもらいました」とか「私は買春をしました」と紙に書かせてサインさせ、後で買春の違法性を利用して口止め料を請求したり、会社に請求書を送ったりします。また最近発生したものでは、白紙の紙にサインさせ、後日「私は小姐を強姦してしまいました。賠償金を支払います」と記載し、賠償請求をする店がありました。

 

また元締めは店を守るために、録画した情報から、定期的に買春外国人情報を各局に流し、捜査協力をする形を取って関係を深めています。

そのため、実際に被害にあった出張者が、再度出張で上海に来た際に空港で捕まり、事情聴取を受け、入国に時間がかかった例も発生しております。また7月には「知らぬ存ぜぬ」を貫いた日本人出張者が入国を拒否されました。こういう状況になると必然的に会社に知られることとなり、コンプライアンスの観点から懲罰になることは必須です。

 

また警察もこのようなぼったくり被害者の話を気かなくなってきました。

先日、南京東路派出所に被害届を出しに行った日本人が「お前がそこで何をしたかはわかっている。それでも通報するか?」と派出所を追い出されました。

また先月と先々月は長寧区内の派出所に駆け込んだ日本人に対して、警官が店に行き、店員を派出所に連れてきました。しかしその一時間後に別の店員が録画とサインした紙を持ってきて「この日本人は店の小姐を強姦しやがった。これが証拠だ」と警官に見せ、「俺達は日本人が好き。和解できれば事件にしなくても良い」と更に5万元を請求。その30分後に今度は録画に映っていた小姐が派出所に来て泣き叫ぶ。結局先々月の人は5万元で和解。先月の人は和解金を用意できず、日本の妻に連絡。妻が翌日日本円で50万円持ってくるということで、パスポートを派出所に預けて、ホテルで待機及び無断外出禁止となり、翌日午後、妻がお金を持って上海に来て和解となりました。

このようにぼったくりも進化しており、出張者が中国語ができないことを良いことに、言いたい放題やって、証拠まで作ってくるようになりました。

また半年前は派出所に行った日本人が、店も検挙されましたが、録画が決めてとなり、買春(治安管理処罰法違反)で行政拘留10日間となりました。

 

上記のようにぼったくり被害に遭いますと、自分自身での解決は困難となってきております。

 

ではこれら被害を避けるためにはどうしたらよいか。

答えは簡単です。中国の法令を守っていれば良いだけです。

呼び込みは必ず買春、もしくはそれをにおわせる内容で声をかけてきます。その言葉に鼻の下を伸ばすのではなく、そこで「買春は違法だから行きません。警察を呼びますよ」ときちんと言えば良いだけなのです。はっきり言って「赤信号は止まれ」と同じレベルのことだけで、被害を避けることができます。

 

それでも被害に遭われてしまった場合は、自信で悩まずご相談ください。

出張者と観光者に関しては無償で一回限り、二次被害等が発生しないよう対応することも可能です。

 

ぼったくりでもKTVでもそうですが、中国で日本人が捕まる最も多い犯罪が買春です。また日本人がもっとも被害を受けるのも買春の結果であります。

日本人として現地法令を遵守するよう心がけましょう。

また中国と関係のある企業は、駐在員や出張者に対して、中国に行く前に、現地法令を遵守するように指導することをお勧めします。

 

お金は一時の被害で済みますが、個人情報や録画はその後にさまざまなトラブルを引き起こします。

中国ではどこに落とし穴があるかわかりません。「自分は大丈夫だろう」ではなく、ここが日本ではないことを意識して行動するようにしましょう。