STCCに質問殺到の「大江戸温泉物語」に関しての見解

昨今ニュースでも話題になっている上海の大江戸温泉物語の模造問題に関して、STCCにも問い合わせが多く来ていますので、ここでSTCCの調査結果と見解をお知らせします。

 

STCCに「あれは偽物なのか?」「行っても安全か」などを問い合わせられても、弊社としてははっきりとした答えをお出しすることはできません。

現段階で上海側、日本側共にまったく違う見解を示しており、真実がどこにあるのか判断できません。

今後は中国の法令に従って処理され、裁判官の判断を待つしかないと思います。

ですからSTCCに問い合わせられても、弊社の判断で回答はできませんので、あらかじめご了承ください。

 

ただ問合わせが多いため、STCCで独自に中国側の大江戸温泉物語(以下、上海大江戸温泉)を調べてみました。

 

上海大江戸温泉には4つの中国企業と1人の日本人が関わっております。

 

1、ニュースでも名前が出ている「上海江泉酒店管理有限公司(2015年9月10日設立)」。この企業の経営範囲は酒店管理、物業管理、企業管理コンサル’、投資コンサルなどですので、上海大江戸温泉の実質的な経営を行っているものと考えられます。

 

2、「上海雲湯沐浴管理有限公司(2016年8月22日設立)」。最初に声明文を出した企業。経営範囲が公共浴室、レストラン管理、食品流通、駐車場管理などですので、入浴場自体の管理経営を主とし、ここが各種許可を取得していると思います。

 

3、「上海前観投資有限公司(2015年2月17日設立)」。1の江泉に出資している企業で、江泉の役員の1人がこの企業の出資者に名前があります。江泉に出資するために作られた会社であると思います。

 

4、「豊収日(集団)」中国の大手飲食チェーンの母体で、ホテル経営なども行っており、2の雲湯の完全出資者になっております。おそらく建物の建設、用地問題、各種許可取得などで関わっていると考えられます。もともと上海大江戸温泉がある場所は元は永楽電器などの大型家電量販店があった場所で、元からあるサウナを改装したわけではありませんので、全ての許可を取り直しているはずです。そういう状況でこの企業がサポートしたと思われます。

 

5、日本人M氏。1の江泉の董事長を務めている唯一の日本人です。

 

弊社も以前、世界に2000店舗以上の飲食店を持つ日本企業の商標管理を中国で数年行いました。その時の経験から、今までの模造店舗は完全に中国人が個人経営していたり、韓国人が中国で経営しておりましたが、今回のように日本人が関わり、中国でも有名な大企業が出資者に入っているのははじめてみました。

この部分が普段の模造問題とは違い、日本と中国、どっちが正しいのか判断に悩む部分です。

もし完全コピーであれば日本人が「これは良くないと思う」と言うだろうし、まして中国でチェーン展開している大企業がこれを許さないでしょう。

かといって日本の大江戸温泉物語株式会社が嘘を言う理由はありません。もし名前のライセンス契約をしたとして、一切経営に関与しないとは考えられません。もし上海大江戸温泉で細菌問題、寄生虫問題、食中毒などの衛生問題が発生した場合、日本側が大打撃を受けるからです。

 

またなぜか温泉(サウナ)自体を運営している雲湯ではなく、江泉がライセンス契約の契約書を持っており、それを公開しました。もし模造なら、この契約書も偽造されたものになり、それを堂々と公開すればどうなるかくらいは大人ならわかることです。

ただこの契約書のサインと印影は違うと日本側は話しているようです。

 

このように模造店でも、正規店でも双方ダメージが大きいこの大江戸温泉問題。

私の見解は、日本の大江戸温泉物語は中国側もしくはこれに関わる日本人に騙され、名前を勝手に使われてしまったのではないか…そんな気がします。

これはあくまでも私個人の見解であります。

 

真実は現段階ではわかりません。上記はあくまでも私の経験から導いた見解でしかありません。

あとは裁判官が決めればよろしいかと思います。

ただ事実が判明しないうちは、もしこの上海大江戸温泉が模造店だったとした場合、あくまでも現段階では仮定の話ですが、もしコピーをし、契約書を偽造していたとすれば、相当な悪になります。

このような入浴施設であった場合、衛生管理なども疑わなくてはいけません。

リスクは避けて通るべき。利用するしないいは個人の判断ですが、結果がでるまでは静観しておくのが妥当かと思います。

 

現在上海市の関係各局も調査に動いております。

その結果を待つほかはないと思います。

また今回の現象はどの日本企業にも降りかかってくる問題であります。今回の結果の行方をしっかりと学び、上海大江戸温泉のように色々な企業が関わっているときの戦い方を勉強することは、今後の日本企業にとっても良い勉強になると思います。

4つの中国企業と日本人VS大江戸温泉物語株式会社。この結果は今後の日本企業の海外展開において重要なものになると思います。

 

STCCに「行っても大丈夫か?」「本当に偽物か?」「安全か?」と聞かれてもお答えできませんので、このような質問はご遠慮くださいますよう、お願い申し上げます。