●情報
最近の駐在員の話題といえばやはり外国人労働者の社会保険加入の義務化ではないだろうか。
そこで今回は社会保険について説明したいと思います。
中国の社会保険には5種類あり「五金」と呼ばれています。
・養老保険(日本で言う年金と同じです)
・失業保険
・医療保険
・労災保険
・生育保険
この中で個人負担を伴う前者3つを特に「三金」と呼びます。
今回の法改正で外国人にも五金の加入が義務付けられるのです。
日本の駐在員の場合、日本の本社に雇用されたままで、中国に駐在している方は保険の二重加入になるわけです。
さてこの加入義務化で、皆さんの一番の関心は「保険料がいくらになるのか」という部分ではないでしょうか。
社会保険の計算方法を上海市を例にとって説明いたします。
保険料の納付額の算定には「納付基数」と「納付比率」を用いて計算されます。
納付基数は前年度の個人の平均月給を指し、これには上限と下限が設けられています。上限は上海市全体の労働者の平均月給×300%で、2010年を例にすれば11688元になります。
下限は上海市全体の労働者の平均月給×60%で、2010年を例にすると2388元になります。
ほとんどの駐在員は各種手当てを含めればこの上限を超えていると思いますので、保険料は上限で計算する方が多いと思います。
納付比率は五金ごとに、企業負担と個人負担の割合が決まっています。
養老保険:企業22% / 個人8%
失業保険:企業1.7% / 個人1%
医療保険:企業12% / 個人2%
労災保険:企業0.5%
生育保険:企業1.7%
となります。合計すると企業37%、個人11%ということになります。
計算方法は単純で「納付基数×納付比率」です。
2010年の上限を例にとれば
企業負担:11688×37%で4324.6元
個人負担:11688×11%で1285.7元
となります。
駐在員のほとんどが日本での健康保険と厚生年金の個人負担を継続していることが考えられるため、企業側が駐在員に個人負担分を求めるのは難しいと考えられます。
結果として企業の負担は4324.6元+1285.7元で約5520元/月となり、日本円にすれば約66500円/月。年間では約80万円の人件費アップとなります。
この規定は2011年7月1日から適用されることになっています。
上海市においては「国家の法規が公表されるまでは上海市は現行規定に基づき、外国人労働者への社会保険加入を強制せず、国家の関連法規公表後、改めて調整する」と発表しています。
現状では地域によって違いがあるようです。
しかしこの社会保険の恩恵を我々日本人が受けることは難しいと思います。
養老保険では受給資格が15年(日本は25年)と短いですが、駐在員で15年以上滞在する人は少ないと思います。(掛け金は帰任時に返却されます)
医療保険に至っては中国基準となっているため、外国人が受信するVIP診察等は適用範囲外になります。また多くの方が海外傷病保険に加入しているので、よっぽどのことがないかぎり、医療保険を使うことはないと思います。
さらに中国では「加入している個人」しか給付対象ですが、日本は「加入者の家族」となっています。
こういった面で「なんで我々外国人が・・・」と思うかもしれませんが、公開の法改正で義務付けられてしまったし、罰則もあります。
今後の問題も含め、STCCでは社会保険加入義務化に関する情報を注意深く追って生きたいと思います。
[上海DMCコンサルタント]より