自称日系コンサル会社による中国内資会社設立詐欺事例

Aさんは中国上海で独立を考え会社を設立したいと考え、インターネットで上海の日系コンサル会社を探しました。

そこでヒットしたのが、広告代理店(自称コンサル会社)G社。代表K氏。

サイトにはK氏は国連のNGO団体の常任理事とあり、この肩書きを信じてG社に訪問しました。

 

K氏の薦めもあり、会社設立に関して無知であったAさんは、資本金が少なく設立しやすい内資企業で登記する事に決めました。

 

しかし内資企業設立に当たっては中国人の株主が必要であり、当初Aさんは知り合いのB氏に名義を借り設立する予定でした。設立後、法定代表人を自分にすれば問題ないと思っていました。ところがG社のK氏は「知り合いでは何かあった時に問題が発生するし、Bさんが辞めるといったらどうするか。順調なときは問題ないが、トラブルがあった時に知人で対応できるのか」と疑問を投げかけられました。

 

(確かに名義を友人や知人を使ってのトラブルは山のように発生しているのも事実です。)

 

そこでG社は「名義人もこちらで用意する。お金をきちんと渡しビジネスの関係であれば問題が発生しないだろう。きちんと名義貸しに関する取り決め事項を記載した覚書を作成する」と・・・。

 

Aさんは当時何もわからなかった為、G社の薦めに従い、G紹介のW小姐(後にわかった事だがK氏の愛人)と契約を交わし、会社設立代金として7万元、名義貸し費用として3万元を渡しました。

このときG社は発票(領収書)は後日渡すとの事でした。(当時Aさんは発票に関して疑問に思わなかったようです)

 

2ヵ月後無事に会社が出来上がり、これで上海でスタートできると思った矢先、G社からAさんに連絡がありました。

 

「法定代表人をW小姐からAさんに変えなければいけない。この手続きをやるので、手続き費用を払ってくれ」との事でした。

当初の約束では法定代表人変更までが設立費用に含まれるのですが、W小姐との契約はあってもG社との契約は無く、確認を取ることができない状況でした。

またすでに2ヶ月経過しており、早く事業を始めたいAさんはしぶしぶ言われるまま5千元を支払いました。しばらくして、自分の名前の入った営業許可書が届き、会社の印鑑、許可証等をもらいました。

 

その際今度は銀行の口座の名義変更が必要だとの事で、手続き費をまた請求されました。がAさんは「それは違う」と反論し、請求を断りました。するとG社K氏は「なら手続き費用はサービスするけど、銀行に行かなければ行けないので、W小姐の交通費として100元あげて欲しい」と言われ、交通費を渡しました。

 

その後、口座の名義変更も終え、数ヶ月が経ったある日、突然G社のK氏から「あなたは違法行為をやっている事がわかった。株主を辞めたい。あなたが約束を守らなかったのだから株主変更に伴う費用と慰謝料、手続き代行費として5万元を直ちに払って欲しい。払わない場合は会社の印鑑の紛失届けを出して、新しく印鑑を作成し、会社を清算する。清算されたくなかったらすぐに払え」

 

と脅迫まがいの物言いで連絡してきました。

 

実際はAさんには違法行為はまったく無く、営業許可範囲どおりの経営でした。

 

お金は払いたくないし、会社清算は困る。悩んだAさんは当方に相談してきました。

 

そこで株主を当初予定していたBさんに変更することを薦め、G社に交渉したらG社K氏は「変更するならしてもいい。しかし彼女に迷惑をかけた分慰謝料3万元を払わなければW小姐にサインはさせない」と強気の反論をしてきました。

 

Aさんは「ならW小姐に払った金を返せ。」と申し出ましたが、G社K氏は「そんな金もらった覚えは無い。証拠があるのか」と反論。確かに発票も無い状態で法的にも対応できませんでした。

 

結論としては印鑑の紛失届けを出したとしても、実物を法定代表人が持っているわけなので、もしこのような事を行えば、偽証を問われるのはG社。その旨をG社に警告し、G社の脅迫は止まりましたが、W小姐のサインが無い以上、株主の変更も会社清算もできず、すでに数ヶ月で営業活動を行っている為、新しい会社を作るわけにもいかず、結局は腹に爆弾を抱えた状態で経営していかなければ行かなくなってしまいました。

 

その後、このG社を調べたところ他にも被害者が多数いる事がわかり、あらゆる分野で詐欺まがいの事をやっている事がわかりました。また国連NGO団体の常任理事はすでに数年前に解雇されていました。

 

このような詐欺被害がありました。