そもそも日式KTVって違法なのですか?

昨今の取り締まり強化、営業禁止命令の中、複数人から「日式KTVの何が違法なのか?ただ一緒に歌って、酒飲んで、会話しているだけの何がいけないんだ」との質問があり、多くの方が疑問に思われていると思いますのでお答えします。

 

日本では上海のような日式KTV(完全個室制、チップ制)は存在しませんが、似たようなものにクラブやスナック、キャバクラ、キャバレーなどがあります。

これらは風俗業とされ、風営法の範囲内で営業しており、この範囲内であれば合法とされております。

※完全個室チップ制は日本でも違法

 

しかし中国においては社会主義国家であるため、風俗業という物自体を禁止しています。

そのためKTVはあくまでもカラオケBOXであり、日本の風俗店のような物ではないというのが表向きです。

 

つまり店が女性(小姐)を準備し、それをあてがう事で利益を得る行為は違法とされております。

 

小姐のいるKTV等では小姐はあくまで個人営業者であり、店が用意したものでなく、小姐自身が客を見つけて金を稼ぐのは小姐の勝手。ただしKTVに入り込んで営業しているので、店は小姐からいわゆるショバ代を取っている。

という勝手な理屈で店は営業しているわけです。小姐は個人の責任で三陪行為(違法行為)をしているという解釈です。

スナックなどでは小姐はあくまでも服務員で、お客のテーブル周りの片付けや準備、お酒等の準備要員という解釈で営業しています。

 

しかし昨今の日式KTVは売上げバック、ボトルバック、店内での小姐順位付け、社員旅行、店のルール、店の正社員(店長、マネージャー。ママ、チーママ)を中心としたグループチャットなど、グレーゾーンの解釈を大きく逸脱し、店が小姐を準備し管理ている形になってしまいました。

 

そのため、現在の日式KTVは「営利性陪侍婦女(営利性の女性接待)」と捉えることができ、「娯楽場管理条例」の第十四条の四項に違反していると言えます。

この十四条の四には禁止事項として「提供或者从事以营利为目的的陪侍」としています。

 

この「営利性陪侍婦女(営利性の女性接待)」とされるサービス内容は娯楽場(店)内で、小姐による「陪唱・陪舞・陪酒」とされており、それを店側が提供することで違法とされます。

つまり日式KTVは持ち帰りや売買春はご存知の通り違法ですが、先の質問にあるような「小姐と一緒に歌うだけ」「小姐と一緒に酒を飲むだけ」は、日式KTVにおいては先に記したように、店が小姐を管理してしまっている状況から、営利性の女性接待行為とされ違法になります。また某KTVやスナックなどでも実施されている「小姐と一緒に踊る」も同じく違法となります。

現在スナック等のカラオケ機器の使用の禁止の原因もこの法令(陪唱行為)にあります。

 

これは日本でも同じで、風営法で規定されている営業時間外にも営業したがためにできた「ガールズバー」も同様であり、「ガールズバー」の基本概念は女性が接待する店ではなく、ただのバーであり、女性従業員が多いだけと主張し、風営法から逃れました。そのため本来「ガールズバー」では女性従業員がカウンターに肘をついてお客と会話したり、乾杯して一緒に飲んだりすることが禁止されており、それを守らなかったガールズバーは風俗店とみなされ、風営法によって処罰されました。

 

東莞の一斉取締は記憶に新しいと思いますが、これも上記の「営利性陪侍婦女(営利性の女性接待)」によって検挙しました。

 

今回の取締りの中、一部中式KTVは営業しているのに、日式KTVだけがいつまでも厳しい取締にあっている理由に大虹橋特区構想があり、この構想実現の為に地域内の浄化作戦が展開されております。

この浄化するための法律のひとつが「娯楽場管理条例」であり、多くの日式KTVが小姐を管理してしまった結果、日式KTVは「営利性陪侍婦女(営利性の女性接待)」とされ、娯楽場管理条例第十四条違反とされ、営業停止となっているわけです。

 

話が長くなってしまいましたが、表題の「そもそも日式KTVって違法なのですか?」の答えとしては、現在の日式KTVの営業方法では違法であると断言できる。という回答になります。

 

ただこれは店が違法であって、客が違法という訳ではありません。

 

しかし現在の日式KTVは某大型KTVを例に挙げて説明すると、発票に関しては店(娯楽有限公司)の発票でなく、ペーパーカンパニー(小規模増値税企業)の発票を使用していることから、脱税を行っていると判断でき、そこで消費することは脱税の幇助に当たるので客も違法。小姐も脱税しているのでチップを上げれば同じく違法。現在営業許可は出ていないにもかかわらず、無許可店に行き消費している時点で違法行為とされます。いずれも処罰対象です。

また更に店内で麻薬の使用、セクハラ行為、買春などがあれば同じく処罰されます。

 

このように店が小姐を増やすために行ったボトルバックや売上げバックに始まる小姐の管理が、事実上は「営利性陪侍婦女(営利性の女性接待)」となり、現在の日式KTVは違法店ということになったわけです。

当然多くの会社は日本でも外国でも違法店への出入りを就業規則やコンプライアンス規定で禁止しているはずです。

仮にそのような規則がなくても、社会人として、とくに妻子のある責任ある方の行動としては考え直す必要があるでしょう。

 

どの店が「営利性陪侍婦女(営利性の女性接待)」に当たるかの判断はむずかしいでしょう。

判断方法としては小姐の言動から見極めるしかありません。

いくつか例をあげます

 

・「今月売上げが足らなくて、店から怒られるから助けて」:店の指示で営業している

・「今日は店の○周年記念だから・・・」:小姐が店と組んでいることが明白

・「ワイン入れないとママに怒られる」:小姐と正社員のつながりが明白

・「今度、店のみんなで旅行。お金助けて」:小姐が店の従業員であるかのような状況になっている

・「今日は店のお客少くないから助けて」:店の営業をしている

・「あなた彼氏でしょ。店の売上げを助けるのは当然でしょ」:店の営業をしている。

 

他にも多々ありますが、本来小姐と店はつながっていてはいけないわけですから、これらを言う小姐のいる店は違法店ということになります。

 

違法かどうかに関してはさまざまな意見があるとは思いますが、中国の考え方はこの通りです。実際にこれで東莞の風俗が消え、上海の取締及び営業停止もこれに沿って実施されている現実があります。

 

「一緒に飲んでるだけだから」「一緒に歌っているだけだから」そもそも中国の法令ではこの「一緒に」が違法という訳です。

 

つまりいつでも検挙できる状態であるという事を認識していただければと思います。

 

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