お酒を飲む機会が増える季節。宴会後の注意点

●情報

年末も近づき、これから忘年会、新年会、送別会、春節とお酒を飲む機会が増える時期です。

毎年、飲酒後のトラブルが発生しています。

お酒が強い方も含め、他人事とは思わず注意していただければと思います。

実際に相談や対応した例を挙げます

 

◆会社の忘年会後、中国人社員が急性アルコール中毒で死亡。

日系企業の忘年会で普段飲み慣れない日本酒を飲んだ中国人従業員。場の空気や日本人上司からの勧めもあり、何本も飲んでしまい泥酔。宴会後い酔いつぶれた従業員を心配し、同僚が彼の妻に電話する。

妻は「酔っただけでしょ。そのまま放置していいです」と言う。しかし顔色も悪く、うなだれている従業員を心配した同僚が救急車を呼び病院へ。

この従業員はこのまま息を引き取りました。

翌々日、従業員の妻が会社に乗り込み賠償請求し大暴れとなりました。

ここでの注意点は日本でも同じですが、忘年会が業務の一環かどうか。また上司が勧めたという部分が強制だったかどうか。

中国では同席者が泥酔した場合、きちんと介助し、自宅もしくは病院まで送り届かなければいけません。。

今回のケースではきちんと介助し、逆に放っておけと言ったのは彼の妻。

現在も係争中ですが、会社としては補償金(見舞金)を払うつもりですが、金額で揉めているのと、上司の刑事責任を問う戦いとなりました。

 

他の死亡例では食事会で泥酔した友人を一人タクシーに乗せて帰宅させた後、自宅前で酔いつぶれ真冬に外で寝てしまい凍死した事件がありました。この時は一緒に食事していた全員が公安に逮捕され、過失致死罪が確定しました。

中国には一緒に酒を飲み、泥酔した人に対して「注意義務」が発生します。会社の宴会であれば幹事や上司が責任を持って介助しなければいけません。

もし死なせてしまえば大変なことになります。宴会ではムリに酒を勧めることなく、酔いすぎていると感じた者にはソフトドリンクに切り替えるなどの配慮が必要であるとともに、泥酔した者があれば、きちんと自宅まで送り届け、家族や同居人に引き継ぐなり、病院に搬送するようにしてください。

 

◆泥酔して路上で寝てしまった者への公安の対応。

日本でもよく見かけますが、路上や公共交通内で泥酔し寝てしまう人がいます。

中国で泥酔し路上で寝てしまえば、起きたときにはすべて盗まれているというのが定番です。

毎年、日本人でも酔って路上で寝てしまう人を見かけます。

路上で寝ている人を見かけた巡回中の警官はどうするでしょうか。

答えは基本的に無視です。

但し、通行人が警察に通報した場合は若干対応が違います。

通報された場合、警官は泥酔者の元にやってきます。そして声を掛けて起こしてくれます。

しかし泥酔者がなかなか起きない場合は、警官は肩に装着しているカメラを起動して撮影を開始し、泥酔者に対して「これが最後。起きて帰りなさい。起きなさい。ちゃんと注意したからな。あとは自己責任だぞ」と声を掛けて帰っていきます。

当然、財布やパスポート、スマホなど盗まれる可能性は大です。盗まれたら派出所に自分で来いという事です。

注意点としては自分の酒の量をしっかりと把握し、限界を超える飲み方をしない事。ここが外国であることをきちんと意識して、自宅に帰るまで気持ちを緩めないという事が大切です。

 

◆新年会で同僚の中国人女性が泥酔。日本人駐在員が酔った勢いで自宅に連れ込み…。翌日、強姦罪で逮捕

会社の新年会でお酒を飲み、泥酔した中国人女性を心配し女性を送ることに。しかし自宅住所をなかなか言わず、しかたなく30代前半の日本人駐在員が自分部屋に連れて行き介助。しかし我慢できず肉体関係を持ち、翌朝目覚めた女性に通報される。

駐在員は同意のもとでの性交を主張するも刑事拘留される。

中国では泥酔した女性に対しては同意も拒否も関係なく「正常な判断ができない状態」と判断されます。

正常な判断のできない状態での性交は、女性からの通報があれば強姦罪となります。

例え同意があったとしても、泥酔していると判断した場合は不用意にその言葉を信じず、女性の自宅まで送り届け家族に引き渡したり、病院に搬送するように心がけてください。

お酒の力もあり、自身も正常な判断ができなかったようですが、強姦罪は通報されたら必ず刑事拘留されます。あとで後悔しても手遅れです。

KTV等でも同じですが、泥酔した女性の同意には十分注意してください。

 

◆その他トラブル例

泥酔で最も多いのが忘れ物です。特にタクシーに財布やスマホ、過去相談があったものではパスポートや財布まで入れたゴルフバックなどを忘れたという相談があります。

DiDiなどでタクシーを呼べば車両の特定はできますが、流しのタクシーに乗り、現金や交通カードで支払った場合は車両の特定方法は領収書のみとなり、領収書をもらわなければ探すのが困難になります。

タクシー会社に連絡しても、見つからないことが多く、見つかっても運転手が「知らない。次の乗客が盗んだかも」と言い訳をされます。逆に忘れ物が返ってくればニュースになる国です。十分注意してください。

また、お酒を飲むと心も財布も緩くなる方もいるようです。街で「女の子いるよ」声を掛けられてタクシーに乗せられ、入った店で高額請求されたり、バーで声を掛けてきた女性を部屋に連れ込み、金品やPC、スマホを盗まれた事例もあります。

他にも飲酒運転で捕まった場合、今の道交法では5日以上の拘留と免許取り消し処分となりますし、酔ってシェア自転車に乗って転倒したり、事故を起こした方もいます。

酔っぱらってKTVから出てきて、車道まで出てタクシーを捕まえようとして轢かれた駐在員もします。

 

通常では大丈夫だと思っていても、お酒が入るとお酒に負けてしまう事が多々あります。

また自分は大丈夫でも、同席者が泥酔すれば過失致死罪にまで発展する場合があります。

 

年末年始はどうしてもお酒の量が増える季節です。たとえお酒を飲んでも、ここは外国であることをきちんと意識してお酒をのみ、また同席者が泥酔した場合は注意義務がある事を忘れず、きちんと介助するようにしてください。