●相談内容
出張に行く中国人の上司に「旅途順風」と出張の成功や旅行の安全を祈願してメールしましたのですが、上司から怒られました。何故ですか?
●ご回答
中国ではよく祝辞の言葉をメール等で送る場面が多々あります。例えば誕生日なら「生日快楽」、健康を願うなら「祝你健康」などがあります。
旅行や出張の安全や成功祈願では「一路順風」「旅途愉快」など複数ありますが、旅行の場合は暗黙のルールがあります。
それは移動手段によって禁止語句があるということです。
旅行が徒歩、車、鉄道、船の場合は基本的にどれでもOKですが、飛行機に関してだけはルールがあります。
飛行機では「旅途順風」「一路順風」は使ってはいけないのです。
飛行機は風を受けて揚力が発生し飛ぶことができます。つまり飛行機は向かい風で初めて飛ぶことができるのです。
「順風」は追い風を意味します。日本でも同様に「順風満帆」という言葉があるように、昔、船で移動していた時に追い風で帆がいっぱいに膨らむ。つまり物事が順調に思い通り運ぶことを指します。
しかし飛行機が追い風を受けると揚力が無くなり墜落します。また離陸や着陸は必ず風上に向かって離着陸します。追い風では離着陸ができません。つまり事故が起こるということです。
したがって飛行機で移動する旅行や出張などでは「順風」は絶対に使ってはいけません。
飛行機移動の時は「一路平安」「旅途平安」「旅途愉快」などを使うようにしましょう。
今度時間があるときに高鉄の駅と空港の祝辞看板を見てみてください。空港では「一路平安」、高鉄駅では「一路順風」になっていると思います。
こういった豆知識も会社では重要ですから、社員や上司に中国人がいる場合は気をつけましょう。