上海市内日式KTVの偽物発票(領収書)に注意!

写真は縁むすびで使われている偽物発票

●情報

 

これから忘年会、新年会が多くなる方も多いであろう。こういう時は会社の交際費や接待費で飲食をする方も少なくないと思う。

しかしそこにも落とし穴があるのだ。

 

写真は縁むすび7号店で実際に使用されている統一発票(領収書)である。

実はこれは完全な偽物なのだ。店が脱税するためにPCで作り、ドットプリンターで印刷たものである。

実際にSTCCで調査した結果、このような会社名は工商局に登録されていなかった。また税務登記番号も存在していなかった。

日付も適当で、金額も消費金額とは大きく違う。

実際に店に行ってお会計をすると黒服に「いくらの領収書がほしいですか」と聞かれる。非常に不思議な光景である。

 

店が脱税で検挙される分には我々には関係ないのだが、この偽物発票が日系企業にも影響を与えるケースがある。

 

日系企業F社では駐在員の個人経費を全て会社で負担している。しかし駐在員達は個人の遊興費も接待費として会社で精算しているのだ。これはこれで問題であるが、今回はこの話は置いておく。

ここの駐在員達は日式KTVが大好きで、個人でもよく利用している。

STCCにもこのF社の駐在員の奥様数名から浮気相談が来ていたので良くわかる。

蘇州工場の駐在員も上海事務所の駐在員もこの偽物領収書を会社の財務に出して精算していたのだ。

その精算金額は相当なものになるはずだ。

縁むすび7号店の場合、セット料金は350元と一般的なのだが、酒に関しては常識外の値段設定になっている。これは小姐へのバックを多くするためにこのような設定になっている。

この店の小姐の場合、ボトルを入れた日は大人しいが、ボトルが空かない日はワインやシャンパンの要求が非常に多い。結果として一人で毎回2500元から4000元(日本円で5万円から8万円)を消費させられる。

そんな領収書が毎日何枚も会社の財務に集まってくるのだ。財務担当も日本人駐在員には何も言えず、精算してしまう。会社には何枚もこの偽物領収書が溜まっているのだ。

社内で個人の遊興費を精算するしないは、その会社の問題なので関係ない。

しかし事件は起きた。

それは11月のある日、税務局の監査が入った。当然、領収書はすべて調べられる。

そこに2000元以上の偽物領収書が大量にあり、経費として処理され、現金が会社から出ているのである。

2000元というが、上海の平均月収は4500元前後。2000元という額は中国内では大きなお金なのだ。

それが偽物領収書で大量に経費処理されている。

税務局はこの会社の粉飾決算を疑うわけだ。

当然と言えば当然である。偽物領収書は誰にでも作ろうと思えば作れる。税金対策で経常利益を減らす事にも使えからだ。

結果としてこの日系企業は行政処分、指導、追徴課税、罰金となったわけなのだが、KTVの脱税工作が、そこを利用した人の会社にも影響した一例である。

 

しかしこれは珍しい事例ではない。どの企業でも起こりえることなのだ。日本と違い、中国ではインボイスでの会計となっている。その要のインボイスが偽物であれば、それは発行した企業も処理した企業も脱税に関与していると見られておかしくはない。

日本でも中国でも脱税は犯罪である。

 

遊興費を精算するかしないかは、その会社の規定なので何も言えないが、せめてもの対策として、領収書をもらったら、それが偽物かどうかを確認し、偽物は経費処理しないという形にしたいものだ。