営業しているカラオケBARと閉店してるKTV。この差って何?

●情報

上海市は中央の命令により3月29日より室内娯楽施設の営業停止を通達しました。

主に映画館やKTVが対象となりました。

その結果、市内のKTVは全て営業停止になりました。

ところが同じ室内娯楽のBARやスナック、カラオケBARは営業しています。この差って何なのか、疑問に思う方もいると思います。

 

その前に仙霞路にある某日式KTVは電気を消して営業していますが、これは通知を無視した違法営業であり論外です。店名は出しません。出すと「自分は大丈夫」と行ってしまう人がいるので某日式KTVとします。すでに当局も違法営業は確認しています。

 

さて、今回の通知ですが、今回通知を出したのが「上海市文化旅遊局(以下、文化局という)」になります。

あまりなじみの無い役所ですが、主に文化活動、芸術、観光地、景勝地の管理、映画やカラオケの管理と放映権や著作権を管理する部門です。

つまりこの役所が映画館やカラオケ店の主管部門となるわけです。

したがってここが通知を出したため、KTVと映画館は営業停止となったわけです。

 

ところが実際には違法営業のKTVを除いて、停止中のKTVがある中、営業しているカラオケスナックやカラオケBARがあるわけです。

文化局の通達ですから、本来はカラオケ設置店は全て営業停止しなければいけません。

しかし営業している店があります。この差って何なのだろうか。

たぶん店に聞いても「うちは特別だから大丈夫」とか「うちは公安から許可を得て営業している」という100%嘘の回答が来るだけです。

 

実はこのカラオケが両者を分けているのです。

本来中国ではカラオケ(映画も含む)など映像伝播媒体を設置する場合は文化局の許可を得なければいけません。しかし、この許可を得るのが非常に厳しいのです。

日式KTVなど現在閉店している店はどうなっているのかというと、中国が許可をしている映像を入れただけの状態で申請し、許可を得た後に台湾や日本語カラオケの海賊版をインストールしています。

違法といえば違法なのですが、申請し許可を得ているので、ここでは目を瞑りましょう。

したがって、文化局からすれば許可を得ている店のみにカラオケがある事になっております。

だからカラオケ許可のリストを元に通知を出すことで、カラオケ店が営業停止すると考えていたのです。

 

ところが現実は違います。

 

街を歩けば分かるように、日本人が多く住むエリアではカラオケがあるのに営業しているBARやスナック、日本料理店が堂々と営業しています。

これらの店は文化局に許可を得ずにカラオケを違法に設置しているため、文化局の通知が届いていないのです。だから営業しているカラオケ店と、営業停止中のカラオケ店に分かれるわけです。

 

さて、真面目に許可を得て、しかし営業停止している店にしてみれば面白くないわけです。

ところが文化局には執法権がありませんから、違法カラオケの取締りができません。

一般的に取締り行為ができるのは公安、城管、市場監督局、食品薬品監督局など、監督局と付いている部門です。

その為、今までは例えば虹古路の違法カラオケ設置のBARの取締りは公安がやっておりました。

それでも取り締まる警官は昼間に店に行くため、夜営業の店はうまく逃げてこられたのです。

 

ではこのまま違法カラオケ設置店は逃げ切れるのか。そうではありません。

今回新型コロナウイルスの影響で、多くのサービス業が悲鳴を上げております。STCCも同様です(涙)

そんな中、再度の営業停止命令は痛恨の極みであります。しかしのんきに営業している店があるのは、経営者なら誰だって面白くないわけです。

 

そこで上海市ではまもなく公安局と市場監督局が夜の店の一斉検査および取締りを行う予定です。

 

※あくまでも予定です。

というのも数年前、STCCが取締り情報を出した結果、それを見た日本人が愛人に連絡。愛人が店の経営者に連絡し、経営者が公安に事実確認。結果、取締りができなくなり、私は当局からめちゃくちゃ怒られました。日本人の為に出した情報だったのですが、KTVに依存している人を信用し過ぎていました(反省)

 

ただ今回は事情が違います。新型コロナウイルス。自分や友人、家族、会社の同僚の命に関わる問題であり、会社の存続にも影響する事態ですから、いくらKTVに依存していても大丈夫であろうと信じたいです。今の日本や世界の状況を見れば、現実がわかると思います。

 

今回なぜ文化局が室内観光地や室内娯楽の閉鎖を決めたのか。冷静に考えてください。

先日、私はある病院の発熱外来病棟を見てきました。写真を撮ろうとしたら警備員に追い出されてしまったのですが、長蛇の列ができていました。

私は上海に16年住んでいますが、SARSの時以外は発熱外来は静まり返り、お化け屋敷のような状態で、謎多き場所というイメージでした。

そこに長蛇の列が今もできているのです。

河南省では先日ある都市が封鎖されました。表向きはたった2名の無症状感染者が出たという理由でです。

これ以上書くとアク禁にされちゃうので書けませんが、政府幹部の友人が私に「お前は絶対に油断するなよ。外出時は絶対にマスクしろ。極力外出は控えて人が密集する場所には行くなよ」と言いました。

当然理由は言いません。ただ単に「健康に気をつけろよ」という意味なのかもしれません。いや、そういう事にしないといけないのでしょう。

あとは皆さんの想像に委ねるしかありません。まぁ簡単に想像できてしまいますが。

 

とりあえず、上記のような理由で営業中のカラオケ店と、閉まっているカラオケ店があるわけです。

そして間もなく一斉検査と取締りがある予定です。

 

実はカラオケ店の話しはどうでもよいのです。「KTV」や「取締り」と書くとアクセスが増えるから、あえてこの話題で目を引きました。

 

本当に皆さんに伝えたいのは後半の部分です。

 

家族で滞在している人もいます。現地社員の努力もあってやっと業務を再開できた企業もあります。上海に親友がいる人も、婚約者がいる人も、家族がいる人もいます。

街全体が緩くなっているというか、緩く演出されています。おそらく対外的メンツ?

 

ですからこの緩い演出に流されず、また「自分は大丈夫」というような正常性バイアスを持つことなく、一人一人がしっかりと再度防疫対策を行ってください。

 

事実を書けないのが本当につらい。私自身が中国に住んでいるので書けません。皆さんの想像力に委ねるしかありません。

 

今回これを書くにあたり本当に悩みました。しかし、現在の上海の緩さは危険だと思い記しました。

ネット掲示板ではこの状況でも頭の中がKTVや陪酒小姐の事でいっぱいの人もいます。

この人が感染するのは勝手ですが、今回のウイルスはそういう簡単なものではありません。

 

もし日本料理店等を経営している人が見てくれていたり、知人に日本料理店の経営者がいるなら是非伝えてください。

日本料理店こそが率先して防疫対応を行ってください。体温測定、随申QRのチェック、実名登記、店内消毒など徹底してください。日本人同士だからとか、体温測定が失礼という考えは間違っています。

同朋だからこそ、きちんと防疫することで、結果としてお互いを守ることができます。

また体温測定でお客が離れるというのも間違いです。きちんとやっているからこそお客は安心して利用できます。

体温測定は接客次第でいくらでもトラブルを回避できます。

例えば「すみません。ルールなので」と言って体温測定すれば、お客は気分を悪くするでしょう。

もし「失礼します。ピッ。大丈夫です。今日も元気ですね(笑顔)」とやれば文句を言う理由がありません。「失礼します」は礼儀。「今日も元気ですね(笑顔)」は愛嬌。これで怒る人はいません。

接客方法でいくらでもトラブルは回避できるのです。

 

そして日本料理店がきちんと防疫をすることで、中国に滞在する日本人の気持ちを引き締めることができます。それが結果として誰かの命を守ることにつながります。

是非もう一度、防疫に関して考えてください。お願いします。

そしてこれを読んでいただいた皆様も、まだまだ油断せず、大切な人のためにマスクの着用、不要不急の外出の自粛、密閉空間での宴会等を自粛していただくと共に、再度、防疫を考えていただければと思います。

 

 

 

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