国慶節前の恐喝小姐の驚くべき行動のまとめ

●情報

 

毎回、長期休暇前は小姐の恐喝が大量に発生する。

当然のごとく今年の国慶節前にも多くの相談や依頼があった。しかし今回の小姐達の行動は例年にないほど恐ろしいものだった。

今までの小姐はいろいろな脅しを行ってから交渉のテーブルに引っ張り出そうとするのだが、小姐の恐喝も進化しているようで、この国慶節前の恐喝の多くは実際に行動に移し、徹底的に駐在員を潰した後に、これ以上やられたくなかったら金を出せ。というものが大半を占めた。

今までの小姐の恐喝は言葉での脅しであったが、今の小姐はまず行動。そして本当に実行してくるのだ。

どうやら小姐も小姐達でいろいろ研究し、金を搾取する方法を模索しているようだ。

そして行動に移せる最大の原因が、今回多くの小姐があらゆる情報を持っていたということだ。

会社名、部署、自宅住所などは今まで通りだが、今回ほとんどの小姐が董事長、本社社長、本社役員、家族の連絡先など、きっちり情報を持っていることだ。

これら情報を手に入れているからこそ、実行できるというわけだ。

これには色々な理由がある。

中国では昨今信用情報の開示などが進められていて、小姐でも知識さえあれば、社名のみで簡単に調べられるという状況がある。

たとえば社名から出資者名、出資者や役員の連絡先などは簡単に手に入る。さらに工商局まで行けば、出資者のパスポート、住所、電話番号、日本の銀行などまですべてわかる。また多くの駐在員がiPhoneを使うことで、センサーに指が軽く触れるだけでロックが解除され、すべて盗み見るという技も覚えている。以前なら自宅にある日本からの郵便物の伝票から情報を盗むという単純なものだった。それでもスマホの普及により、メモではなく撮影という手法になり、情報の取得が容易になっていた。

今ではそのレベルをはるかに超えている。

 

今回、国慶節前に実際に報告、相談のあった事件の中から、いくつかを例にだそう。

 

1、上海茂名南路某KTV 30歳代小姐

この小姐は最初から金目的で駐在員に近づいていた。

「もうとしだし、これから結婚しても子供が作れない。私は子供がほしい。あなたには絶対に迷惑をかけない」と中出しを誘発。そして妊娠。今回は時期的に微妙であったが、妊娠してれば天下無敵。

当然、数十万元を要求。期限は国慶節直前。

ここまではよくある手口。普通なら診断書を手に入れたらすぐに子供を下ろして仕事に戻り、脅迫を継続するのだが、最近はお腹に赤子を抱えたまま脅迫してくる。この小姐も当然、妊娠したまま脅迫を継続。そして真っ先に会社、本社、支社などに平気で二人の関係の写真や会話のスクショ、そして嘘の訴えを文書に、国際郵便で平気に送りつける。さらに知るはずもない董事長の携帯に電話し「妊娠させられた、助けてほしい」と連絡してくる。

ここまでを平気にやってからさらに交渉へと持っていこうとするわけだ。

 

2、上海仙霞路某ビル3FのKTV 20代小姐

別れ話からの手切れ金請求20万元。別れ話と言っても指名は2回のみ。知り合ってからたったの3ヶ月。別れるも何も、この状況で恋人と断言できるこの小姐の考えもたいしたものだ。肉体関係も2回のみ。売り上げ要求や生活援助の要求が激しく、小姐との連絡を遮断後に手切れ金請求という、支離滅裂な要求。

当然、相手の要求を拒絶すると、小姐は「私はあなたに強姦された」と突然主張。KTV小姐で強姦って、しかも最後のセックスは1ヶ月も前のこと。当然無視となるのだが、この小姐は本当に警察に行き告訴する。ポリスレポートを駐在員の日本本社に実際に送りつけて、交渉を再開しようと画策する。

 

3、上海安龍路某グループ8号店 30代小姐

会社から帰宅すると、なぜか小姐が家の中に。鍵屋を呼んでピッキングで入室とのこと。そして突然「あなたと別れるから29日までに30万元払え」と要求。

とりあえず小姐をなだめて現金1万元を渡して帰宅させる。

翌日、予告なく会社に現れ、入り口で「○○という日本人に強姦された」と叫ぶ。

会社の従業員が110番通報し警察が来るが、小姐は警察に「○○に強姦された」と言う。駐在員は警察に連行される。当然そのような事実はないので、駐在員も堂々と連行に応じる。派出所に行くと小姐とは別々に部屋に通される。このとき小姐は捏造した身体が傷だらけの写真、血だらけの陰部の写真(おそらく生理中に撮影)を警察に証拠として提出。

これにより、駐在員は拘留となる。ただ証拠がこれだけであり、事実確認が取れないのと過去のことということもあり、2日間だけの取調べ拘留のみで一旦帰宅。出勤すると当然現地社員の冷たい眼差しにさらされるのだが、そこに小姐がやってくる。会社の入り口で「帰れてよかったね。この事実とあなたが連行される写真を本社に送られたくなかったら、きちんと賠償金払え」と要求

 

4、無錫嘉里広場某スナック 20代小姐

指名している小姐に帰任まで5000元/月か手切れ金を要求される。拒否すると会社に行くと脅迫。ここまでは普通だが、会社に行くも工場だったため中まで侵入できず。上司が出てきて話し合いになるが、要求金額に達しないため逆切れ。自宅に乗り込み、足でドアノブを破壊。それでもドアが開かず、いったんは引き下がるものの、駐在員が嘉里広場の別の小姐に110番通報を代理要請。結果、この小姐は警察に通報せずに小姐の店にママに連絡。ママが彼女を解雇したのをきっかけに、彼女の怒りはMAX。失業したのはお前のせいと言わんがばかりに、ハンマーやレンチなどの工具を持ち出し、家に乗り込みドアを徹底的に破壊。

そこに上司が駆けつけ、一旦は引いたものの、2日後に金を出せと言い捨て消える。しかし2日を待たずにマンション前で待ち伏せし、騒ぎを起こす。

 

これらは今回の国慶節前に相談、依頼、報告のあった小姐恐喝の一部であるが、ここにあるものを見てわかるとおり、小姐の脅迫パターンも変化しつつある。ここまでくると、金を搾取するためには手段を選ばないということがよくわかる。

今回の小姐は自分を犠牲にしてでも金をとるという行動を皆が行っている。わざと妊娠したり、虚偽の通報をしたり、武器をもって乗り込んだり。これらは今までの小姐には無い行動だ。なぜならこれらの行為は犯罪(妊娠は別)であり、自身にもリスクが大きいからである。

しかしそのリスクを勢いと行動力で誤魔化し金を求める姿を見た。

これは常軌を逸した行為ではあるが、各地、各店で同じような行動が見受けられた。つまり小姐がここまでして金が必要という環境になっているということだ。

そして小姐が常軌を逸した行動ができた背景に情報がある。情報を得るまではおとなしく、可愛い小姐を演じ、虎視眈々とそのときを待ち、情報を集めるのだ。

そして情報を得た小姐は火の玉のごとく突如として突進してくるということだ。

これらを未然に防ぐには、まずは各々が「自分は大丈夫」とか「俺の小姐は他とは違う」、「こんなのは一部の駐在員の話」などと考えるのではなく、れっきとしたリスクであるという認識を持つことが大切だ。と同時に、情報管理の徹底を再度確認し、自分が会社経営者でないのであれば、社名すらリスクであるという考えを持つことが大切である。

そしてKTVやスナック、バーは酒を飲みカラオケをして楽しむ場所であり、愛人や恋人、性のはけ口を探す場所ではないという認識を持つことが、自分と自分の家族の未来を守る手段であると同時に、会社に命を受けて赴任してきた責任であると思う。

このような小姐の行動に屈し、金を渡した駐在員がいれば、他の小姐も必ず真似をする。中国に滞在する日本人として、法令を遵守し、正しい生活こそが最大の防御であると感じる国慶節であった。