ぼったくりの二次被害で入国トラブルが発生

●情報

 

2月に浦東空港で2件、虹橋空港で1件の入国トラブル事案が発生しました。

連絡を受け対応し、最終的には入国できましたが、トラブルに遭った人はいずれも以前に上海市内でぼったくり被害に遭っていました。

 

3名とも昨年11月から本年1月にかけて、上海市内の同じぼったくり店で買春。その後、高額請求を受けカードで支払い。その際にカード利用控えはもらえず帰国していました。

 

今回上海に来た際に、空港の入国審査で別室に来るように言われ、言葉がわからずどうしようもない状況でSTCCに連絡し対応となりました。

 

辺検の主張は要治安事案事情聴取とのこと。

 

詳細を聞くと「公安の事だからわからない。別に逮捕するわけじゃないと思う。」という。

 

3名とも日にちは違えど、同じ状況でした。

 

通訳を理由に辺検から引き継いだ警官に事情説明し、立会いの許可を頂くと、以下の通りであった。

 

3名のうちの1人A氏の場合を説明します。

 

「○月○日に□□店(ぼったくり店名)に行っただろ。店が提出した映像がある。」と言い出し、画面を撮影した写真を提示。

「これはお前で間違いないか」と聞く。

写真の人物は間違いなくA氏であった。しかも通路や入り口の写真ではなく、個室内で盗撮されたものと思われる画像で、しっかり性行為中であった。

 

A氏は「違う」と否認するが、警官が続けて「ここにこの画像の人物が使ったカードの伝票がある。これは尾間の名前だろ。お前のカードを全部見せろ」と言い、A氏が出した財布からカードを全て確認すると、該当のカードが出てきた。

 

この伝票は本来A氏が当日受け取らなければいけなかった、利用者控えであった。

 

警官は「なんで嘘を言う!全て話さないと拘留だぞ」と怒鳴ると、A氏は事の顛末を全て話した。

 

警官はすべての供述を記録するとパスポートのコピーをとり、「次また買春したら拘留だぞ。今回は注意のみだ。ここにサインしろ」と言うと、開放された。

 

私は担当警官にどうしてA氏だとわかったのか、何がしたかったのかを聞いた。

 

第一の目的は店を検挙したいということ。しかし証拠が少なく立件できないという。そこで店の人間に接触し、録画と顧客情報を入手した。

本来カード控えは店がカード会社に提出してしまうが、何人かのお客様控えがあったので、それを取得した。カード利用控えの利用者名から、臨時住宿登記の記録と照合し、ホテルに確認。ホテルで使用したカードと一致したので、該当者を特定したという。

その後、入国時に撮影する顔写真と録画を比較し、明確にわかる人だけを入国時に停めて、供述調書を取ることにしたのだとのこと。

 

中国の「人を管理するシステム」は本当に凄いと感じた。

 

ただ警官はこうも言った。店は当然悪いが、店をいくら検挙してもいたちごっこで、終わりが無い。

買春は治安管理処罰法違反。買春する奴がいなくなれば、店は資金が無くなり営業できなくなる。

だから今後はもっと厳しく買春する外国人を取り締まる予定。

 

警官の言うことももっともである。ぼったくり店は広告も何も出さない。呼び込み専門の組織と組んで客を連れてきてもらっている。

呼び込みは「ちんちんマッサージ。300元。見るだけでもいいよ」と言って客を捕まえる。

この時点で日本人側が「それは違法でしょ。警察を呼ぶ」と言えば済むだけの話である。

店も当然悪いが、日本人が日本人として良識ある行動をしていれば、そもそもこんな被害は無いのである。

店はこれら被害者に「店に来てくれ」とは言っていない。被害者が呼び込みの言葉を聞いて、自分の判断で、自分の足で店に行き、違法行為をしているのだ。拉致されたわけでも、無理やり強姦されたわけでもない。自らナニを出し、自ら突っ込んでいる。

 

この他にも帰国後に変な請求書が来たり、中には本人の知らない高額利用が発生したケースもある。

 

※その他、金銭的な被害事案はこちらを参照 →「ぼったくり被害者の二次被害が発生

 

昨今のぼったくり被害はお金だけの問題では無くなっているのが現状だ。

出張で上海に来て、いきなり拘留なんて事になれば、帰国後に会社で待っているものは言わなくてもわかるであろう。

 

そうならないためにも法令を遵守し、万が一店に行ってしまったとしても、カードは必ず自分で決済する、その他個人情報を見せない、カード利用控えは必ず回収することを心がけてください。

 

そもそもは呼び込みがどんな事を言っても、絶対に信じず、ついていかないこと。

 

また出張を命令する会社側も、事前にこのような知識を出張者に与えることも大切です。

すでにお金だけの問題だけではないところまで来ています。3月からは入国時に指紋も採取され、パスポートを新しくしても記録が消えないようになります。

法令を遵守していれば被害に遭うことはありません。ここは自分の国ではないということを自覚し、法令遵守につとめてください。