日本人客のWechatIDを管理して横流しするKTV

●情報

 

Wechatを使っていると時々まったく知らない人から友達申請が来たり、営業のメールやデリヘルの案内が届く事がある。

これらのほとんどが振り込め詐欺やぼったくり等、犯罪性が高い。

 

先日私のところに1通の見知らぬ女性からの案内が届いた。

最初にシステム案内で「○○さんがあなたを自分の連絡先リストに追加しました。今すぐメッセージを送信しよう!」というのが来た。

その直後に中国語で「本日バーを開店しました。時間があるときに来て下さい」と本人からメールが届いた。

私は直感的に詐欺かボッタクリだと思い無視をしていた。

当然、アイコン写真の女性も美人だが記憶にない。そもそも自分の連絡先リストに無いのだから知っているわけもない。

 

その夜、私は友人と食事を終えて、電動バイクで仙霞エリアを走っていると、お祝いの花を並べたバーを発見した。明らかにこの日オープンした感じだった。入口に日本語の案内もある。まぁ見た感じボッタクリ店にも見えない。

そこで私は先に来た知らない人からのメールを思い出し、もしこの店なら最近届く営業や詐欺メールのからくりがわかるかと思い、先の見知らぬ女性のメールに返事を出してみた。

するとバーの住所が届いた。まさにこの花の並んでいる店を指していた。

私は店に行ってみた。そこの店員達をみてもやはり記憶に無い。

とりあえずボトルを1本入れて様子をみる。縁むすび並みに異常な金額だ。店内を見回すとWechatで連絡してきた女性を発見した。

私は女性に「なんで私のWechatを知っているの?」と聞くと女性は「以前交換したでしょ」と言う。

申し訳ないが私は職業柄、そう簡単にはWechatを交換しない。

私は「そんなわけないでしょう。あなたと会ったことないし」というと女性は「以前名刺をもらったから、携帯番号から登録した」という。

申し訳ないが私はわけわからない女性に名刺を渡すことなんてありえないし、まして私のWechatは携帯番号から検索できないようにしている。

ここまでの会話でこの女性が嘘を言っていて、不正な方法でWechatIDを取得したことは明白だ。

 

なんとか出所を探りたい。

 

私は店内のお祝いの胡蝶蘭をいくつか見た。すると日本人の名前がいくつかあった。また外の祝い花の差出人を見ると見覚えのある店の名前や小姐の名前がいくつもあった。

私は全てを悟り女性に「君は以前は縁むすびだったでしょ」と聞いた。すると女性は「そうそう。縁むすび。だからWechatを知ってたの」と言い出したのだ。縁むすび関係ならボトルの値段の異常な高さにも納得できた。

ちなみに私は去年の脱税調査(上海市内日式KTVの偽物発票(領収書)に注意!参照)、偽酒調査(上海市内日式KTVの偽ワイン、偽酒に注意!参照)以降は縁むすびに行っていないが、確かに以前は店に行っていたことがるし、名刺や電話番号はこの店では絶対に出す事はないが、以前3人だけWechatを交換した事がある。

とりあえずこのバーの聞き込みを終了して店を後にする。

 

その後、その他の友人申請やデリヘルの案内等を調査していった。お茶の販売案内や発票の案内は無視して(本当の詐欺だから調査の必要なし)夜関係に集中した。

その中の一つ、デリヘルの案内でボッタクリをやってる奴がいた。このボッタクリは私も良く知っているグループで何回か回収に行ったことがある。

そこでこのグループのボスにどういう経緯で、このような案内メールが来るのかを聞いた。

ボスは「近くにいる人機能がなくなった後、WechatIDのリストを売る人が出てきている。しかも国籍別、性別、年齢別など指定できる」という。

そしてこのグループが購入したリストの出所を聞き出すことができた。

販売者は中国人女性(個人)だった。そしてこの名前に見覚えがあった。

縁むすびのあるチーママの本名であった。ただ中国は同姓同名も多いから違う可能性もある。

しかしこの前のバーの女性も縁むすび、出てきた名前も縁むすび。

そこで縁むすびに絞って調査を進め、事実にたどり着いたのだ。

 

からくりはこうだ。

 

日本人客が縁むすび小姐とWechatを交換すると、後日小姐は担当チーママに報告しWechatIDを渡す。チーママはこのWechatIDを管理し、リスト化する。

そして独立した小姐に売ったり、裏社会に売っているというものであった。

 

現在、Wechatはお財布機能や銀行カードとリンクしている。電子マネーで買い物の支払もできる。

このようなWechatのIDが詐欺師の手に渡れば、当然振り込め詐欺に利用されるし、銀行を通さずお金を動かせると言う事もあり、騙されてしまう人も多いし、それを制止してくれる人と接する事もなくお金が動いてしまう。

バーの営業用に売られる分にはたいした事ないが、今回情報提供してくれたようなボッタクリ組織に売られたり、詐欺師に売られてしまっては被害を防ぐ方法は限られてくる。

当然知らない人からの案内は無視すればよいだけなのだが、そこに知っている人の苗字があったりすると、中国語が良くわからない日本人は色々想像して騙されてしまうだろう。

 

現在、縁むすびのチーママの単独犯なのか、いつものように店ぐるみなのか、調査を継続しています。

 

しかし名刺、携帯番号に続いてWechatまで危険になるとは、本当に悲しい社会だし、何でも金に変える中国人魂には感服する。

たしかにKTVは日本人の個人情報の宝庫だ。これを売ると言う発想は容易に思いつくのであろう。

 

ここまでくると自己防衛の方法も限られてくる。

小姐とWechatを交換しない、名刺を渡さない、携帯番号を交換しない。正直言って不可能な話しだ。

 

やはり、個人で携帯を用意して、捨て番号、捨てIDでいつでも処分できるものを用意するしかないのかもしれない。

しかし小姐もバカではない。使い捨てで携帯を用意しても、もう一台の主携帯を見つければ、キレたり、「浮気」とか言って、なんとか番号を手に入れようとするだろう。

 

それ以上に、ここまでしなければ夜遊びできない情況も異常である。

 

今回も縁むすびだった。現状で他の店でこういう異常現象が起こっている報告はない。

 

引き続き調査を行い、ママの単独犯なのか店ぐるみなのかを確定させ、追って報告する。